偶像破壊展

HAPPENING

もしかしたらこれは、展示破壊、と呼ばれる方が適切かもしれない。ドイツ、カールスルーエの「ZKM」で現在開催されているエキシビジョン「ICONOCLASH(偶像破壊)」が開催されているマンフレッド・ウルフ・プロッテグスがデザインした建物では、どうしても迷ってしまう。もしバルコニーや、MUSICOCLASHという音響効果がなされている場所(ここは楽しめることをコンセプトにしているが、それがもつトピックに順応するのに必ずしや難しさを感じてしまう場所)まで続く廊下を見つけられたとしても、永久的な展示に対する動揺がそこには残ってしまっている。様々な大きさの黒い四角で囲まれた展示会場のまん中へと通じる階段では特に、その場でどう自分が振る舞えばいいかが解らなくなってしまうのだ。ある種のリズムをもたらす目的があるきらきら光る銀色の三角形の円柱は、来場者が、紹介されている様々な種類の偶像破壊主義を理解し、発見するのを促す代わりに、何か煮え切らないもやもやした感覚を覚えさせてしまっているように思える。


とにかく、最もインパクトが強く、面白いオブジェクトと作品は、通路にあった。しかし箱に入った状態で展示されている為、影響力には欠ける感じがした(会場のどまん中にぽつんと置かれていたマーティン・キッペンバーガースの素晴らしい作品「MODELL INTERCONTI」は、工場によくある小さいテーブルの様に見えなくもない)。

ダリオ・ギャンボニスの作品「RUSSIAN CORNER」は、特筆すべき素場らしい作品。彼はソビエト連邦時代に政治的モニュメントの運命を探究した人物だ。クレムリン像が立っているモスクワの中心街にある、THE CHRIST-SAVIOUR大聖堂の歴史は、ソ連のハイブリッドと今日のオーソドックスな教会の両方にとっては、まったく別のプロジェクトだった。モクコバ川の泥の中に撃沈してしまった基盤を作ってしまった、巨大なソビエト宮殿への道建設のために、スターリンの支配下の下始まった、政治色の濃いモニュメントアートの発展をここでは紹介。この宮殿に建設された、世界最大のオープンエアーの温水プールは(全長130メートル)、プレストロキア時代に対抗する為に作られた新しいタイプの聖堂だ。結果的にはかなり暴力的に非難を浴びてしまったのだが、国中の教会の崩壊が進む間、モスクワの総大司教代表の不安を象徴しているものだ。

素晴らしい作品に限って、隅に追いやられているのがこのエキシビジョンらしい。例えばウレイの1976年のビデオ作品「アートにおける犯罪的な接触」や、トレイシー・モファットとギャリー・ヒルバーグの1999年の作品、「アーティスト」などもその一つ。ウレイはこの作品で、彼自身のコメントを交えながら、トルコからの移民家族の居間にベルリンの「ザ・オールド・ナショナル・ギャラリー」から拝借して来たスピッツウェグの「POOR POET」を飾ってもらう為に、ドキュメンタリータッチの映像を撮影した。モファットは、何かを作り上げることからアート作品を破壊するまでの、「アート」を扱う、ということに注目したマニュアルな作品を制作。それにテンポの早い音楽を入れることで、ビジュアル的にエアロビックな雰囲気が作り上げられている。もし時間があれば、ホールに設置されている箱に座ってみることをお勧めする。その昔、映画館用として作られたこの美しい木製の椅子に座ると、ボリス・グロイスのレクチャーを聞きたくなってしまう。倫理的な部分も持つ「偶像破壊主義の栄光」と題されたこのレクチャーは、テ-ブで流されており、「MENAGE TROIS」という有名な映画のシーンがカットされて上映されている。ジョセフ・レオ・コーナーズのセクションでは、更に古典的な芸術史の一面を垣間見ることが出来、小さいながらもインパクトがある事柄に驚きを隠せない。例えば大英博物館から借りて来た「WHIPPING OF CHRIST」という拷問にかける人の顔が、全く知らない人の顔にすり変えられていることを扱った本や、アルベルト・デュラーの「WELDING CLOTH」は、円の中で太く薄くなりながら走るたった1本の線のなかにキリストの顔が描かれている。

ピーター・ギャリソンの科学的視覚方法のショーケースは、もはやアートだけ、科学だけ、歴史だけ、といったように、なにかひとつだけを取り上げたエキシビジョンは存在しないことを証明している。しかしこのコンセプトにある弱点は何かと言えば、それは会場の隅やアングルがエキシビジョンや、不協和音の中で出された7人のキュレーターの結果を興味深く情報的なものにしており、「MUSICOCLASH」で紹介したようなビジュアルレベルでのインスタレーションと似たものになっている。エキシビットクラッシュ、と呼ばれるものだ。

Iconoclash
会期:2002年5月4日~8月4日
会場:ZKM (Center for Art and Media, Karlsruhe)
住所:Lorenzstr. 19, 76135 Karlsruhe, Germany
TEL:+49-721-8100-0
info@zkm.de
http://www.zkm.de

Text: Timo Linsenmaier
Translation: Sachiko Kurashina

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