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「偶像破壊」展

HAPPENINGText: Timo Linsenmaier

素晴らしい作品に限って、隅に追いやられているのがこの展覧会らしい所だ。例えばウレイ(フランク・ウーウェ・レイジーペン)のビデオ作品「アートにおける犯罪的な接触」(1976年)や、トレイシー・モファットとギャリー・ヒルバーグの作品「アーティスト」(2000年)などもその一つ。


Ulay, There is a Criminal Contact in Art, 1976

ウレイのこの作品は、トルコの移民家族の居間に飾る為に、カール・シュピッツヴェークの「貧しき詩人」をベルリンの旧国立美術館から拝借するというパフォーマンスを彼自身のコメントを交えながら撮影したドキュメンタリー風の映像。モファットは、芸術作品の作成から破壊までの「芸術」の取り扱いを考察する長編映画の映画シーンのマニュアルを提供している。アップテンポの音楽によって、イミ・クネーベルとティム・ウルリッヒスの退屈な作品をエアロビクスダンスのような雰囲気の新鮮な映像に仕上げている。

時間があれば、ホールの端にある席の一つに座ってみることをお勧めする。その昔、映画館用として作られたこの美しい木製の椅子に座って、美術評論家でメディア理論家のボリス・グロイスの講演を聞くのは面白い体験だ。「偶像破壊主義の栄光」(2002)と題されたこの映像作品では、映画で使用されている偶像破壊シーンと、映画に対して行われた最近の偶像破壊攻撃をコラージュしたものだ。

アメリカ人美術史家のジョセフ・レオ・ケルナーのセクションでは、更に古典的な芸術史の一面を垣間見ることがでる。主張の中には、プロテスタント以前のキリスト教芸術には、破壊されたキリストを消し去られた神としてのイメージとして、偶像破壊が組み込まれていたというものがあった。

本展キュレーターの一人、ピーター・ギャリソンの科学的視覚方法のショーケースは、もはやアートだけ、科学だけ、歴史だけ、といったように、なにかひとつだけを取り上げた展覧会は存在しないことを例示している。しかし、これにはコンセプトの弱点がある。個々のコーナーには興味深く有益な展示が存在する一方で、7人のキュレーターの協力によって視覚レベルで、前述した「音楽破壊」インスタレーションと同様の不協和音が生まれていた。いわばそれは「展示破壊」と呼ばれるものだ。

Iconoclash
会期:2002年5月4日~8月4日
会場:ZKM (Center for Art and Media, Karlsruhe)
住所:Lorenzstr. 19, 76135 Karlsruhe, Germany
TEL:+49 721 8100-0
info@zkm.de
https://www.zkm.de

Text: Timo Linsenmaier
Translation: Sachiko Kurashina
Photos: Timo Linsenmaier

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