WXIII 機動警察パトレイバー

THINGSText: Shinichi Ishikawa

「レイバー犯罪史上、空前の<悲劇>の幕が開く」。コミック、テレビ、ビデオ、そして劇場版と様々なバージョンによって「レイバー(人型ロボット)」が存在する近未来にレイバー犯罪を取り締まる警視庁<特車二課>通称パトレイバー中隊の活躍を描いたアニメーション「機動警察パトレイバー」。その劇場版3作目「WXIII」が9年ぶりに発表された。

「パトレイバー」の世界が、現実の世界により近づいている現在、「WXIII」のテーマは21世紀を生きる僕達のための切実なドラマとしてその姿をあらわした。去る、4月6日舞台挨拶のため札幌を訪れた脚本のとり・みき氏にインタビューを行った。

もともと本作はビデオ作品として脚本をオファーされたそうですね。しかし、途中で劇場作品に変更になったそうですが、それによって劇場作品の「1」「2」を意識したりしましたか?

一番最初のオファーの時は、オリジナルビデオで「外伝」というお話でした。その脚本が上がるか上がらないかの頃に劇場映画になるという話になりました。劇場作品になると知って、まず内容的にというよりも映画としての雰囲気を意識しました。最初ビデオ用に書いていた脚本は全体的に軽いノリで、本道の怪獣映画してました。ビデオの番外編ならそれでOKだったんですが、「パトレイバー劇場版」ということになると前2作の雰囲気とあまりに違いました。高山さん(総監督)の演出もぼくの脚本も「1」「2」とは全然違う方法論でやっているんですが、劇場版の持ってた雰囲気は引き継ぎたいと思ってシリアスな路線に変更しました。脚本をビデオ版から劇場版に変えていく途中の作業の中で監督やスーパーバイザーの出渕さんとブレイン・ストーミングを繰り返し行ったので、脚本を好き勝手に書いてバトンを渡すという感じではなく細部までああでもないこうでもないといいながら詰める作業は、長い間やりました。

マンガと脚本では作っていて違いはありますか?

マンガを描いてる時はネーム(セリフ)と絵を同時に描いてます。ですので、絵で説明してるから文章を削ってもいいやと、作業を同時進行できます。しかし、脚本を書いてる時は文字だけで絵がないので、これだとちょっと説明不足になるかなあと感じて、最初は説明過剰というか長めのセリフになってました。普段自分が描くマンガより説明的なセリフになっていたかもしれません(笑)。

本作の舞台の描き方に「1」と「2」とは、違いを感じましたがこれは監督の押井監督と年代的な違いからくるものでしょうか?

年代というよりも、押井さんの場合は自分の育った東京に対する喪失感みたいなものがあって、まやかしっぽい現在の東京や日本のシステムを、フィクションの中で破壊というか解体してみせるようなところがある。自分も高山さんも九州出身なのでそういうのをやろうと思っても嘘になると思うんです。田舎から出てきて一人で暮している人間が感じている東京感もまたあるはずで、そういう意味では高山さんが考える現在の東京感が今回の映画によく出ていると思います。

脚本の段階ではとくに意識して描写はしませんでしたが、絵の部分によく出てると思います。押井さんの場合はさらにそれを独特のレトリカルな長セリフで解説していきますが、今回は観念的なセリフは一切やめようということになって、ことさら言葉でそれをだめ押しするということは一切しませんでした。例えば、怪獣が出てきたら登場人物が指をさして「あ!怪獣だ!」とセリフでさらにだめ押しするのが親切でわかりやすい演出かもしれませんが、本作ではそういうことはしていません。川井さんの音楽もできるだけ刈り込んだ使い方をしています。結構アニメを観てる人でも実は絵を見てなくてセリフで話を追ってるお客さんが多いと思うんですよ。そういうことに慣れてると面喰らうかなあ、という気がします。

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