アカイ & バクテリア

PEOPLE


“The beauty lies in the act”. Swedish street-artists Akay and Bacteria caught in action.


ポスターと糊が入ったリュックを背負い、ストックホルムの街をうろつく2人の男。夜に歩き回ることもあるが、ほとんどの場合、彼等が仕事と呼ぶ作業を白昼堂々と行う。アダム、別名バクテリアは、他ではみられないようなミニマル主義の表現方法で、シンプルなフォームを大きな紙にプリントし、それを家の壁や歩行者用トンネル、柱、工事現場のフェンスなど、街のあらゆる場所に貼り付けている。

彼の友人であり、分身でもあるアカイは、彼自身のマークである現代世界のはっきりとした鮮やかなイメージのポスターを貼り付ける。あるポスターには「WE ARE THE HAPPY FAMILY」というコピーと1950年代アメリカの郊外生活の感じを醸し出すようなコントラストの中に家族3人が微笑んでいるのがプリントされている。また別のものには、第二次世界大戦時の飛行機と「I WANT MY PLANET BACK(僕の惑星を返して)」と「DO NOT FOLLOW LEADERS(指導者には従うな)」という文字。彼等のアートは合法なものでなく、販売されていないにもかかわらず、スウェーデンの首都で有名になってきている。

個人的なメッセージのポスターを街中に貼るというアイディアは、どのように生まれたのですか?

アカイ:以前グラフィティをやっていたのですが、90年代前半に飽きてしまったのです。その頃ニューヨークのコストとレブスという、グラフィティからポスターへ移行したようなことをやっている2人の存在を知って、彼等がインスピレーションとなりました。彼等のアートを見て、普通のグラフィティーよりも速く安全な環境で活動するというアイディアを得たのです。

バクテリア:警察が既にグラフィティアーティスト達に圧力をかけていた時代に、ストックホルムの中心部で育ちました。当初から僕自身のアートを街にフィットするようにしようとしていて、アカイに出会った時に僕達が2人とも同じようなアイディアを持っているのに気付いて、ポスターを一緒にやり始めました。

全体的なアイディアとは?それはあなた達にとって「使命」なのですか?

アカイ:僕が自分のアートを制作している理由は、他に知らないからです。メッセージやスローガンを用いますが、実際にまとまったマニフェストや政治的な考え方は持っていません。作品を見る人がそれぞれ自分で何らかのメッセージを見つけてもらえればと思います。神聖なるコンセプトもありません。僕にとっては、新鮮な空気を得る完璧な方法に過ぎないのです。

バクテリア:僕の考えはアカイに似ていますが、僕が使うのはフォームのみで、テキストは入れません。メッセージは見る人自身の目の中にあるのです。バクテリアを選んだのは、それが不必要なものであって、コントロールできないものだからです。僕自身アート同様、全てにおいて有機的に成長しています。

どのような反応がありますか?

バクテリア:ストックホルムは小さな街なので、壁に貼られたものは一般の人達も気付きます。知り合いの人だけでなく、街で出会った人達から多くのコメントをもらいます。彼等のほとんどは、僕達がやっていることに好意的なようです。

アカイ:メールもたくさんもらいます。「ストリートアート」というコンセプトが意識され始めているようです。SPACE INVADER や OBEY GIANT などに関連づけられることもあります。皆、僕らが興味があるストリートアートにポジティブです。

「商業的」なことをやろうと考えたことはありますか?広告代理店やギャラリーと仕事をしてみようと思ったことは?

バクテリア:ギャラリーに作品を展示するということは、全く別のことです。その場合、何か全く別のことをやらなくてはならなくなってしまいます。僕達のアートはストリートのために作られたもので、ギャラリーは僕達に全く別のプレッシャーを与えます。

アカイ:僕はただ、広告代理店のために仕事をするのがかなり退屈に感じるだけです。

常に2人一緒に作業をしているのですか?

バクテリア:一緒に仕事をする方が好きですが、もちろん別々に仕事をすることもあります。ひとりで仕事をしている時はあまり人目を引くようなものができませんが。

アカイ:もちろん一緒に仕事をした方が楽しいですよ。

あるひとつの美学を選択することによって「政治的」になることが可能だと思いますか?

アカイ:僕の作品の中に、昔のロシアのプロパガンダスタイルの美学が見ることができるかもしれませんが、これは、前世紀の前半に政府と組織が使用したあらゆる種類の表現のようなものだと思います。ロシア人はそれを巧くやり、そのため記憶に残っているのです。僕が自身のアートを表現する方法の中には政治的なものは何もありませんが、壁にアートを貼りつける行為自体は、ある意味政治的かもしれません。

なぜそういった美学を選んだのですか?

アカイ:特別な表現は選んでいません。この方法でプリントする方が簡単なだけです。今では最初に写真を使い、それをシンプルにする作業を何度も繰り返し行います。

バクテリア:僕がバクテリアを選んだのは、大幅に変更することができるフォームを使って活動するのが僕にとって快適だからです。始めたばかりの頃は作品は今よりもっと現実的で、膜がはってあるような感じでしたが、今はより文体的で、この形が必然的であると同時に非論理的でもあります。

アートとデザインの境界線はどこに引いていますか?

アカイ:アートのコンセプトがすごく多様化してきています。アーティストやデザイナーの言うことが重要になってきていると思います。一般的にデザインとは誰かが製品を売ろうとする時に使われるもので、アートはある意味それ自体で存在しているものだと思います。

バクテリア:でももちろん、アーティストも自分の作品を売りたいと思っていますが。

今後の予定は?

アカイ:この話題について昨日ガールフレンドと話し合ったのですが、特に予定もないことに気付きました。日々を生きていきます。バクテリアと一緒に本を作ること以外は、特にゴールもありません。まだ全く分かりませんが、僕達のアイディアをまとめた本になる予定です。

バクテリア:旅行を続け、海外で活動して行こうと考えています。今のところ、コペンハーゲン、ベルリン、ニューヨーク、オスロ、パリ、タリンに行き、街中に僕達のアートを貼ってきました。他の都市での活動は、全く別物です。ストックホルムではかなりの反響がありますが、ニューヨークにポスターを貼るとなると、また1からやり直しです。

アカイ:僕達のもう1つのアートである「レフトハンド」も続けていくつもりです。これはすごく簡単で、ただ左手を使って店から何かを盗んできてそれを食べてしまうか、持って帰ってきてそれを使って何かするというだけのことです。

バクテリア:自転車での活動も続けていきます。速く逃げるには最高です。一段ギアの競走用自転車を2人とも持っているんですが、すごくかっこいいですよ。

Text: Andreas Pihlstrom and Nanok Bie from NJIN Theory
Translation: Mayumi Kaneko

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