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ミックス・ムーブ 2000

HAPPENINGText: Julien Villaret

5年前から毎年9月に開催されているエレクトロニックミュージックのイベント、ミックス・ムーブ(MIX MOVE)が、今年もパリで開催された。DJやレーベル、技術者を一堂に集め、フランスのバイブレーションを作り上げようというイベントで、当初はプロフェッショナルな人達のためのミーティングのような感じだったのが、今ではエレクトロニックミュージック、ニューメディアに興味がある全ての人のためのイベントへと発展した。3日間の会期中、コンサートやDJによるパフォーマンス、新発売のマシンの発表会などが行われた。

今年のミックス・ムーブは、パリのニューテクノロジーの実験場として知られるシテ科学産業博物館で開催され、毎年開催される展覧会に新しい方向性を与え、よりマルチメディアで特にネットワークを主体としたものへと音楽を新たに進化させる絶好の機会となった。

イベント会場では、レイブパーティーを開催しているテクノレーベル、エピレプティクや、NTMのラッパー、ジョイ・スターが発行するフランスで最も人気のあるヒップホップマガジン「RADIKAL」(ラディカル)など、あらゆるレーベルや雑誌が集結。当初、ミックス・ムーブがビジネスであったように、彼等は皆、自分達のビジネスのプロモーションのためにその場に集まっていたようだ。

また別の会場では、フランスのヒップホップグループ、ル・プープル・ド・レルブや、コンピューターを使ってインストロメンタルダブを展開するインプロヴィゼイターズ・ダブなど、多くのミュージシャンが至る所でコンサートを開催。その近くでは、地元のDJ、ディー・ナスティ(レディオ・ノヴァ)とヒップホップバンド、トラブルメイカーズが交互にプレイし、様々異なるセンスを持った80名を超えるアーティストのライブパフォーマンスを見ることができた。

イベントの最も商業的な部分は、大企業による新製品発表会場だ。コルグは、シンプルなノイズや、スクリーンに指を乗せることによってサンプリングした音を変調することができる「カオスパッド」と呼ばれるエフェクトコントローラーを使ってグルーブを作り上げることができる最新サンプラー「エレクトライブS」を発表。また、テクニクスは、デジタルピッチ付きのCDターンテーブルを発売したパイオニアの最新ターンテーブルも発表された。デジタルミュージックに興味があるミュージシャン達にとっては、一種のスーパーマーケットのようなもので、実際にそれらの製品に触って試してみることもできた。DJによるデモンストレーションも行われ、彼等のスクラッチは素晴らしかった。

ビデオルームでは、「イメージのミックス」というありきたりなテーマでビデオクリップがいくつか上映されていたが、独創的で革新的なものは一つも見当たらなかった。

今回のイベントでは、主に新しいネットワークを通して音楽を考える方法の基礎を固める試みに焦点が置かれ、コンサルタント目的でユーザーの流れを提供するインターネットサイトやオンラインショッピングサイトなど、純粋に商業的なものも中にはあったが、世界中いろいろな場所にいるミュージシャンがインターネットを通してリアルタイムで曲をミックスするワークショップ「DJ UP」も催され、興味を引くものもあった。エレクトロニックミュージックは、数年のうちにネット上でより有効なものとなることだろう。

イベントの最終日には、DJアブデルや クレイジーB、カットキラーなどフランスのDJを集めてDJセッションが行われた。今回のイベントでは、ラップから実験的な音楽まで、様々なミュージシャンを一堂に集め、フランスの音楽が進むべき道を提示するものとなった。

Mix Move 2000
会期:2000年9月13日(水)〜17日(日)
会場:Cité des Sciences de La Villette
住所:30 avenue Corentin Cariou, 75019 Paris
TEL:+33 (0)1 8553 9974
https://www.mixmove.com

Text: Julien Villaret
Translation: Mayumi Kaneko

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