フリフリカンパニー「フリフリタンカ」展

HAPPENINGText: Chibashi

先月号を読まれた方はご存知かと思うが、フリフリカンパニー(以下フリフリ)が11月2日から14日にかけて原宿ギャラリーで展覧会を行った。海外の展示への協力が多かった彼等。国内初となるこの展覧会では、今までの「カワイイ」系の仕事とは全く違った切り口で非常に「強い」作品を僕らに投げかけるものとなった。

展覧会のタイトルは「Furi Furi Thangka」(フリフリタンカ)。タンカとはチベットでは仏画の意味。7枚の巨大なイラストレーションには女性の姿をした仏の姿が描かれている。彼女(仏)らの姿はアニメやマンガの文脈で描かれ、背後にはテクノの文脈でリミックスされた曼陀羅の空間が広がる。彼等が提唱するこの “スピリチュアル・マンガ・スタイル” というチベット、中国、日本の仏像や曼陀羅の中の神や仏とアニメ、マンガ文化のリミックス手法は、彼等の世代の精神性を最も的確に象徴する表現のひとつかもしれない。

フリフリ代表の程亮弼(てい・りょうすけ)は華僑三世のクリエイターとして、アジア人としてのアイデンティティを深く考えながらモノづくりに取り組んできた。キリスト教の神やその文化より仏教文化を愛し、かつてはバックパッカーとしてアジアを放浪したこともある。そんな彼や(フリフリの)メンバーにとって仏教文化は、創作活動や暮らしの中でリアルな存在として共有されているのだ。

展覧会場は照明が押さえられたシンプルな空間に、作品がシンメトリックに配置された堅牢な空間構成だ。決して奇をてらうことなく作品のみの「直球勝負」をすることによって仏画の空間が厳かに立ち上がっている。また焚き続けられるお香の香りと、BGMのトランスミュージックが空間をさらに強固なものにするのに一役買っている。

そして興味深かったのは、紙に出力したものとは思えない深みや重みがある画面である。よく見ると紙はキャンバス地のテクスチャーを持つ特殊なもので、さらに表面には2層の加工処理がされていた。一見は紙にみえない素材である。これは「Too」の協力によって実現したという特殊な出力だという。このような出力技術が彼等の直球勝負をより迫真に満ちたものとしていた。元々現代美術家としてファインアートの見せ方を追求していたこともある程だけに、このシンプルな空間づくりへのこだわりは納得である。今までには見られなかった「強い」フリフリである。

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