リズ・ファーバー

PEOPLE

リズが、雑誌 Creative Review に携わるようになったこの5年間で、彼女はコマーシャルアートとデザインの世界において信じられないほどの変化を目のあたりにしてきた。


この雑誌には、50年程前に創刊された当初から一貫した目的がある。コミュニケーションとコマーシャルアート(クライアントが利益を得るためにクリエイティブな人物、または代理店に依頼するもの)における、興味深く革新的な展開を発行するという目的だ。
興味の対象は、パッケージングやテレビコマーシャル、ポップな広告物、レコードジャケットといった主流となっているコミュニケーションの形にある。これらポピュラーなフォームを書類として残すものとして、また、変化し続けるスタイルを垣間見る窓口として、広告とデザインに重点を置いている。リズがそれに付け加える。

「ポップカルチャーを切り取っているのです。パッケージングや宣伝広告、写真などポップなもの全般を扱っています。80年代を振り返り、私達がどれほど遠くに来てしまったかを見るのはすごくおかしなことです。」

だが、それは単に変化する出版物のコンテンツではない。

「雑誌がデザインされる様子はその時代の流行を反映しています。今は多分きわめてクリーンな時代なのでしょう。」

雑誌は文体の変化以外にも全体的なクリエイティブ産業の移り変わりを記録している。僕達はデザインがより中心的になり、80年代の広告寄りのアプローチに匹敵しているのを見ることが出来る。リズは、このことが全体として人々がデザインを意識するようになったという事実に何らかの関係があり、全ての面でインパクトを与えると考えている。消費者にとってもデザインは重要なものになっていて、その結果誰もがこのことに気付いた時に適応することが出来るように代理店を巻き込んでいる。
代理店は、動画やタイポグラフィーなどを専門に扱う小規模なプロダクションに対してたくさんの仕事を抱え込むのが普通だった。仕事量の増加に伴い今日では、クライアントは系列会社に依頼することが可能な代理店に仕事を任せる傾向がある。この傾向は、伝統的な広告形態に合わないようなプロジェクトにも尻込みしない新しいタイプの代理店が台頭してきたことを意味する。MOTHERやCIRCUSのような代理店は、短編フィルムを制作したり本を書くという依頼を広告物の一部としてきわめて真剣に受けるが、一方で、他の代理店はそれを自分達の管轄の一部としてはみなしていない。
例をあげると、MOTHERはオン・スクリーンとオフ・スクリーン両方に対応できるようにチャンネル5のポスターとテレビ広告を制作した、とリズが説明してくれた。彼らのようなやり方で仕事をすることは並外れたことだが、それによる利益は明白である。
大手の代理店がこのアプローチに続く傾向がある。

CREATIVE REVIEW は早い段階でインタラクティブメディアをコミュニケーションのクリエイティブな形として取り入れた。1995年の表紙に初登場したカバーディスクについてリズは、当時は大部分の購買者がCD-ROMを作動させる手段を持っていなかった時代だったと認めている。また、彼女はデザインコミュニティーが代理店よりもこの側面において熱心に押し進めていった様子を思い出すことが出来る。

ディスクは出版物において非常にポジティブなインパクトを与えている。

「CDは雑誌に生命を吹き込むために用いられました。それを目にして作動させるということは新しい経験に満ちていました。購買者は雑誌とCD-ROMを一緒に使用することで今何が起こっているのかを知ることができるのです。」

リズは、ウェブでは潜在的にウェブに興味のあるオーディエンスに接触することが十分に出来なかったと告白している。

「イギリス以外ではたった300人の購買者しかいませんでした。もしウェブがかなり良い出来だったとしたら、もっと多くの購買者を得ることが出来たでしょう。」

だが、もちろん僕達の誰もが知っているように、このことが独自の問題をもたらした。

「私達は道を作ろうとしているので、ウェブへの転換は難しくありません。」

仕事をすることによってリズはクリエイティブ産業の主役となる力に触れることが出来る。彼女は仕事に対する情熱をチームの他の人達と共有している。

「この雑誌で働いているみんなが興味のあることは、大体同じだと思います。新しく生まれてくるものや様々な展開を見るのはエキサイティングです。それが仕事を価値のあるものにしているのです。」

同じように、産業の革新や変革とも密接に接している。リズは新しいメディアに触れ、自分自身の興味を膨らませる機会を得て満足しているようだ。

「全く新しいもの、可能性、潜在的な可能性です。」彼女をエキサイトさせるもの。表面に現れ始めた可能性のひとつは、本質的に「デザインされた」インターフェイス技術を通して情報がどのように機能するかということについての理解を発展させることである。

「デザインの視野から見ると、現在までの新しいメディアはプリントを基本としたものです。今後はどうやって情報を表現するかということになって行くでしょう。物事はよりコミュニティーを基本としたものになり、よりローカライズされて行くと思います。情報管理はデザインとプログラミングの技術をひとつにするという点で、実に私をエキサイトさせます。このことがデザインを今までにないエキサイティングな次元へと押し上げることになるでしょう。」

リズに興味のあるインターフェイスの例をあげてもらった。

CARTIA.COMは、テーマ・スケープというソフトウェアを使用しています。そのソフトは文章を構成要素に分解し、それぞれのパートでテーマを探すものです。テーマはその後データベースに組み込まれ、マップにトランスレートされます。SEXといったようなテーマは山として表示されます。ページを吸収する情報は想像もしなかったような方法で表され、ページはシングルマップで表されます。」

CREATIVE REVIEW の記事を書くのと同様に、リズは多くの本のプロジェクトにも関わってきた。その一つに、昨年発行された「Re:Play」がある。それは近年世界規模で復活を遂げたゲームグラフィックへのリズの興味と結びついた。僕達が子供時代にギャラクシアンやスペースインベーダーで遊んでいた頃は、ピーという音やブロックのグラフィックが僕達の皮膚の一部となっていて、20年後に様々な展覧会やオマージュに見られるような熱狂的な爆発となって表面化するなどということには気付きもしなかった。

ゲームのグラフィックというのは、棚に並べられることが出来るかという競争に負けてしまうこともあるとリズは信じている。ワイプアウトのようなゲームの質を目にした時に、デザインがもっと重要視されていたらもっと良い物になり得ただろうということを実感することは悲しいことだ。

「ゲームデザインの世界はとても派閥的です。DOOMは現在のシューティングゲームの地位を築いた第一人者です。誰もがDOOMに興味を示し、多くのゲームがそのスタイルに続いたのです。」

今になってやっとゲームがかなりの市場になると気付いたのは広告関係者である。

「DIESELは、G POLICEのスポンサーとなり、その新しいスノーボードゲームではDIESELのウェアを着ているボーダーが登場します。」

広告媒体としてのゲームに対する興味は、現代のキャラクターデザインへのひとつの返答であるとリズは考える。例えば、トゥームレイダーのララ・クロフトはスーパーマリオに比べるとすごく複雑なキャラクターであり、広告関係者を魅了するのはその複雑性にある。ララは古い時代のゲームが生み出すことの出来なかった特徴のひとつである「セクシー」の要素を持っている。リズはララを生み出したキャラクターデザイナーと話す機会があり、彼はララがボーイフレンドに出会うという安っぽいシナリオをゲーム発売側が言ってくるのを予防する手段としてララのキャラクターを設定したので、これは不可能なことだった、と説明したらしい。最近のテレビ広告でララを起用したソフトドリンク、LUCASADEを魅了したのはこの独立性である。

リズに、これからの予定について聞いてみた。

「私が話せることは何もありません。」

リズが興味のあることを共有したいなら、「Re:Play」と「Browser」を見てほしい。新たな出版物も現在進行中だ。

Text: Nicolas Roope From Fifty.CC (an antirom company)
Translation: Mayumi Kaneko

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