LOT/EK展

HAPPENING

ニューヨークを拠点に活動する「LOT/EK」のデザイン・インスタレーションが、4月4日まで「CCAC Institute-Tecoah and Thomas Bruce Galleries」にて開催されている。
イタリア生まれの二人組 Ada Tolla と Giuseppe Lignano によるLOT/EK (ロウ・テックと読む)は、実験的な試みとロジカルなコンセプト両方を兼ねそろえた極めてユニークな建築家のチームで、これまでもアメリカ内外において空間・環境に対する斬新なアプローチを披露してきている。


今回の「TV Tank」においても、引き続き彼等の創る独特なアンビエントを展開しており、ブラックライトに照らされたギャラリーに入ると、まず目にするのが暗闇に光る巨大な楕円形をしたスチールパイプ。2メートル程の高さのこの物体、実はガソリンを輸送するための大型トラックのタンクで、30年前には実際にフリーウェイを走っていたという。このタンクは幅1メートル程の長さにスライスされており、その輪切り一つ一つにフォームチューブで造られたクッションとケーブルテレビを放映しているTV モニターが設置されてある。観客はそのリクライニングシートのようなクッションの上に寝ながら、リモートコントローラーを使い、モニターからのビジュアルとオーディオをインタラクティブに体験できるという構成だ。

実際にタンクの中に入ってみると、CCACの生徒数人が各々の輪切りの中に寝そべり作品を楽しんでいるのが見える。中にはメディテーションや仮眠をとっている姿もあり、暗がりの中で光る複数のTVモニターから流れるニュース、テレビドラマ、MTVからのビデオクリップ等のサウンドが、空間上でほどよくミックスされ、ヒプノティックな感覚を生みだしている。快適なフォーム・クッションの上にしばらく身体を委ねていると、日頃見慣れているはずのテレビ番組が、いわばサウンド/ビジュアル・セラピー的な、全く新しいミディアムに変容していく過程を楽しんでいる自分に気がついた。軽いトリップといったところだろうか。
ただ単にアート作品と呼ぶよりも、むしろユーザーとのインターラクションにフォーカスを置いている「TV Tank」は、環境デザイン的な要素があり、レトロ・フューチャリスティックな外装も含めて、ナイトクラブやラウンジ等のチルアウト・ルーム等で応用されても不思議ではないような可能性をもっている。

「TV Tank」において使用されたガソリンタンクは、New JerseyのPatterson の外れにある小さな町で粗大ゴミと化していたところを LOT/EKによりサンプリングされたそうだ。
アンディ・ウォーホルは60年代にシルクスクリーンプリントを通して、缶詰やコーラのビンといったありふれた日用品の価値感を変えてしまった。
目的の無い、いわば物質の死を象徴するような廃品を、全く新しい機能性とバリューを持った一つの環境システムに創りあげる LOT/EK の制作プロセスには、ウォーホルが2Dで探索していたコンセプトに共通するものを感じる。

LOT/EK: TV Tank
会期:1999年4月4日まで
会場:Tecoah and Thomas Bruce Galleries@ CCAC Institute
住所:450 Irwin, San Francisco
TEL:(415) 703-9500
http://www.lotekarchitecture.com

Text: Kanya Niijima from MMSW Labs

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