
羊・馬・山羊といった獣毛を紡ぎ、糸くるまで轢き、ニットに編み上げる。縮充させて出来るフェルトを何千パーツも合わせコートに縫い上げる。
このようなプリミティブで丹念な作業で服を作り、衣服という形を通してコンセプチュアルな作品を作り続けているアーティスト/眞田岳彦の個展が行われている。


作品のアイディア・ベースとなっているものは、北極圏グリーンランドを旅し、イヌイット族とともに生活した時の経験だという。
仲良くなったイヌイット族の男性が、ある日突然亡くなってしまった。氷の家に残されたのは、彼の着ていたアザラシの毛のコートと、屋根から吊されたこれから作る予定だったアザラシの皮。
命がこの世からなくなってしまっても、残された服からはいつまでもその人の魂や肉体を思わせる。
その時の思いが強烈な印象となって、現在の創作活動へと導いている、と眞田氏は語っていた。
当然、このような作品を作り個展を催すまでになるには、服飾デザイナーとしてのバックグラウンドがある。新しい素材の開発や造形的なデザインが得意なイッセイ・ミヤケでデザイナーとして働いていたこと、そしてその後ロンドンで彫刻家リチャード・ベーコンの元で学んだ経験は、作品に大きく影響を及ぼしている。
今回の展示に合わせて、見せるだけでなく、実際着られる作品を限定販売することとなった。
LIVING in FIBRE WORKと名付けられた服は、シワのよせられたシルクのプルオーバーとカーディガンで、シワは着る人が自由自在につけることが出来るもの。これらは展示会場となっている国際フォーラムのアートショップで買うことが出来る。
服をモチーフにアート作品を作る作家はとても少ない。コラボレートできるアーティストやキュレーターを探しているそうだ。
今年11月29日から来年1月末までアムステルダムのmarzeeギャラリーにて、ジュエリーデザイナーとのエキシビションが予定されている。
身体と生命のキワ/際
眞田岳彦展
会期:1998年5月29日〜7月12日
会場:エキジビション・スペース
東京国際フォーラム Bブロック1F
TEL:81-03-3286-6716
Text: Atsuko Kobayashi for Spin!
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