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蜂賀亨 × 夏目彰「2001年へのモノ作り」

THINGSText: Akira Natsume

様々な情報やインタビューをSHIFTやデザインプレックスで、作品をCD-ROMで提供するというメディアミックスな連動企画を進めた今回のGASBOOK。これは、メディアの特性を吟味し伝えたいモノに最適な伝達手段を採用するという、GASBOOK創刊以来のコンセプトに基づいています。

SHIFTでは、より世界的な視野に立って、受け手と作り手のコミュニケーションの成立をはかり、デザインプレックスでは広範囲な読者に向けて、よりわかりやすい形での情報を提供しました。「2001年へのモノ作り」と題した32ページに及ぶデザインプレックス誌の特集は、デザインプレックスの大橋さんや SHIFTの協力で、とてもいいものができたと思います。

その特集の最期で、「+81」というSHIFTでも同じみの雑誌を単独で編集する蜂賀さんのコメントが僕の中でとても的を得ていて、この言葉が欲しかったんだとうならせるものがありました。

「ヒューマニズムあふれる世代のクリエイター」

この言葉に何かを感じた僕は「+81」vol.3の編集が一段落したばかりで、興奮が醒めやまぬ蜂賀さんにメールを送る事に、、

蜂賀さんは「+81」を編集していて、海外の情報にくわしいと思いますが、デジタルデザインって聞いて今、何を連想しますか?

そんなに詳しくはないけど、デジタルデザインという言葉は今誰もあまり意識していないのではないかな。

そうですよね。確かに、あまりにもMACなどのコンピュータが当たりまえすぎて従来のデジタルデザインってもう誰も口にださなくなりましたね。僕はタイポグラフィーナウ(90年代初等に出たタイポグラフィブームの最中に活躍する人達を集めた作品集。目次などのアートデレクションをホワイノットアソシエイツが担当した)をみてMACを買った口です。その頃はみんなMACで作っていると思っていたけど後々になって、そんなにMACを使ってないと知った時はショックでした。あの谷田一郎さんの3Dでさえ初期の頃はエアブラシだったらしいですし、そう考えて、デジタルデザインってデジタルっぽいデザインの事だったんだなって納得した覚えがあります。でも、最近になってGASBOOKをやっていると、新しいデザインの流れがあるなって気がしています。それはインターネットや、CD-ROM、ゲームなどのインタラクティブものです。まぁ、デジタル、アナログなんて分けるのはどうしようもなくばからしい事だけど、コンピュータを幅広く使う人達は増えてきてますよね。
+81でもアンチロムを特集したらしいですが、反応はどうでしたか?

まだ雑誌ができていないので、反応はわかりませんが、アンチロムとトマトの事務所が入っているソーホーの「トマトビルディング」を、アンチロムのメンバーであるニックによって紹介してもらいました。経理担当の人や、ビルそのものの中を紹介するなど、とても人間味のある内容になっています。

アンチロムのニックが紹介しているんですか、すごく楽しみです。僕はSHIFTの彼の文章がとても好きなんです。それと人間味のある内容っていいですよね。
蜂賀さんはデザインプレックスで、GASBOOKに今回参加しているようなマルメディアな作品をヒューマニズム溢れる世代のクリエイターだって書いてましたね。その言葉にすごくピンときたんですよ。

というか、デジタルっていっても、結局は人間のために人間が開発した、結局は人間の為の道具にすぎないよね。そこに「自然回帰」とか、「地球を大切に」とか大昔までかえって自分たちの祖先がやってきた努力をまったくゼロに否定するのはではなく、そこからいい方向へ変えていくという意識が大切だと思います。
だからよく、「日本はだめだ。」とか、「アメリカ人はこうだ。」とかいう意見をいろいろなところで見るのだけど、そういうのにはすごく違和感を感じます。海外のどこどこがいいとか。そういった海外に対するおかしなこだわりは、まるでコンピュータが出てきたころに、自分で使ってみることもしないで、「僕はアナログが好きだ。」コンピュータなんて道具は使わない、とかいっているのに近いものを感じます。世代の問題なのか、感覚の問題なのか、よくわからないけど、そういった変な意味でのこだわりっていうのをもっている人達がいて、そういった人達がそういったことばかりを騒ぎ立てるので世の中的に、何かがおかしくなっていくような気がする。
音楽とかはもう、誰もが趣向性が違うし、みんな価値観が違うということが常識になってきたというのに、どういうわけかコンピュータ関係、グラフィックの世界では、感覚的に、まだ遅れている感がある。音楽ではデジタルがどうのこうのとか、アナログがどうのこうのとか騒ぐ人はいないし。もう、日本だからとか、洋楽だからとか騒ぐ人もいないよね。レコードショップっていうのはとても居心地がよくて、それは、もう世界とか、言葉とかジャンルとかなんでもあって、そこはインターネット的ななんでもありに近いんだけど、そこへいけば、自分の探しているモノがみつかる、そこにいけば、自分なりの価値観にであうことができるという、そういったスポットなんだけど、だから音楽はとても感覚的に進んでいるよね。受け手も、作り手も。
でもそうじゃない、グラフィックの世界とかではまだそのへんにこだわっている人達がいる。それが信じられない。そういった変なこだわりをもった人達っていうのが、私にはとても不思議に見える。

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