ジャズ展

HAPPENINGText: Eri Yamauchi

ロビーの中に進んでいくとテーブルとソファがあり、くつろぎのスペースがひろがっている。そこの3つに並んだソファに呼応するように、3枚の絵画が飾られている。

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左から「underground session with five raven」クスミエリカ, 2013年, H420 × W594 mm, デジタルフォトコラージュ、ライトジェットプリント / 「Bebop」ミウラコータロー・クスミエリカ共同制作, 2013年, H420 × 594 mm, 水性ペン・デジタルフォトコラージュ、アクリルフォトプリント / 「You can never capture it again.」ミウラコータロー, 2013年, H420 × W594 mm, アクリル、ボード板

まずは、写真家であり、作家でもあるクスミエリカ作のフォトコラージュ作品「underground session with five raven」(写真左)。頭部が楽器やアンプになった人間がそれぞれの楽器を演奏している。背景の光は煙に遮られてぼやけ、そしてカラスが所々に停まっており、緊張感のある画面に仕上がっている。

また偶然か必然か、この絵画も3人の人物が登場しており、作品の設置されている3つのソファと呼応しているようだ。ジャズが発祥したという19世紀末のアメリカの夜をイメージさせる画面の色使い。そこに一見関連のないものやあり得ないものを組み合わせて、見たことのない「ジャズ」の世界が創造されている。

続いて、ミウラコータロー作の絵画「You can never capture it again.」(写真右)。一見は渋い色使いの絵画作品だが、ある仕掛けが施されていることが分かる。絵画を観る角度を変えると、渦のような文様が画面に浮かび上がってくる。音をあらわしているようなこの不思議な文様は、絵を見る位置によって部分的に浮かび上がっては消え、見るものを楽しませてくれる。

中央の作品は、クスミエリカとミウラコータローによる共同制作「Bebop」(写真中央)だ。 荒涼とした空間に、先ほど紹介した両者の絵のモチーフが共存しよりシュールで幻想的な風景が広がっている。

この3作品は単体で見るのも良いが、3つのソファと合わせてみると 色使いや大きさなどがソファとぴったりと合っている。 そこに人が座れば、絵の中の人物、絵、ソファ、人という4つの要素の連続が生まれ、 更なる視覚的な面白みを発見できるだろう。

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