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ポツダマー通り

PLACEText: Kiyohide Hayashi

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ターゲスシュピーゲル新聞社跡地の中庭とギャラリーコンプレックス Photo: Kiyohide Hayashi

ノイエ・ナショナルギャラリーから数100メートルほどポツダマー通りを南下すると、かつての新聞社の建物が見える。その建物の中庭を囲むように10軒ほどのギャラリーが集まっており、幾つかの建物はコンプレックスを形成している。それらの中で強烈な印象を与えてくれるのは「ブレイン・サザン」だ。

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Photo: Christian Glaeser. Images courtesy of Blain|Southern.

2010年秋にベルリンを撤退したギャラリー、「ホーンチ・オブ・ヴェニソン」の設立者であるハリー・ブレインとグラハム・サザンはベルリン撤退に相前後してギャラリーから離れて、ブレイン・サザンをロンドンで立ち上げた。そして2011年4月ベルリンに支店を出店し、この街のアート・シーンに再び大きな影響を与えようとしている。スペースのオープニングとなる展示では、今なお改装中の広大な吹き抜けのホールを使うことはなかったが、有り余る展示スペースをふんだんに活用してティム・ノーブル&スー・ウェブスターの建築的なインスタレーションを来訪者に見せていた。誰しもが巨大な新聞社跡地の新しい所有者やその活用法に注目していただけに、ベルリンらしからぬ派手さを備え、自己演出に長けたギャラリーのスタイルは、美術関係者に強い衝撃を与えたに違いない。

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ギャラリーの前に立つフローラン・トザン Photo: FlorentTosin

一方で大手や既に実績を残しているギャラリーとは対照的な新しいギャラリーの存在も忘れてはいけないだろう。「マックス・ヘツラー」から独立した「ターニャ・ワーグナー」や「カリエ・ゲバウアー」からの「フローラン・トザン」はベルリンのアート・シーンに新風を吹き込もうとしている。共にベルリン最大手のギャラリーから独立しており、2010年秋からこの地区でギャラリストとしてのキャリアを始めている。彼らのギャラリーの今後は未知数ではあるが、昨年の段階でポツダマー通りに目を付けてスペースを立ち上げたことには先見性と野望を感じてしまう。今後彼らが無数のベルリンのギャラリーの中に埋もれることなくオリジナリティを見せ、熾烈な生存競争に生き残り、アート・シーンの新たな顔となることを期待したい。

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