ポツダマー通り
PLACEText: Kiyohide Hayashi
ベルリンの現代アートで今最も面白い場所はどこなのだろうか。そう聞かれるのであれば私はポツダマー通り界隈と答えるだろう(2011年9月現在)。ベルリンも他の都市と同様に多くのギャラリーが集まり、幾つかのギャラリー・エリアを形成している。しかし非常に強くエネルギーを放つ場所は常に一つだ。かつてミッテ地区にあり、その後ミッテ周辺、ハンブルガーバンホフ美術館裏付近(ハイデ通り、ハーレ・アム・ヴァッサー)に移り変わったように、その熱源とも言える場所は常に移動し続けている。そしてまさに今多くのエネルギーはポツダマー通りに達し、この場所を覆おうとしている。
ターゲスシュピーゲル新聞社跡地とポツダマー通り Photo: Kiyohide Hayashi
旧西ベルリンの壁近くに位置する「ノイエ・ナショナルギャラリー」から南に伸びる大通りポツダマー通り、この通りを挟んだ地区に新しいギャラリー街ができつつある。大通りを見渡せば、八百屋から1ユーロショップ(100円均一ショップ)、そしてインビス(立ち食いの飲食店)やアダルトショップが見られ、表面的にはアートに直接繋がるようなものはほんど見られない。だがしかし2010年以前に7、8軒ほどしか無かったギャラリーや美術関連のスペースは、わずか1年後の今や20軒を超えて、そしてコンプレックスさえもでき、一帯はギャラリー・エリアと化してきている。
Pierre Huyghe, INFLUANTS, 2011. Installation views Esther Schipper, Berlin. Photo: Andrea Rossetti
特に象徴的なのは多数の国際的なアーティストを抱える大手ギャラリーの移転であり、ハンブルガーバンホフ美術館裏より移ってきた「アールンド」、またミッテ地区からの「エスター・シッパー」のように、かつての中心地から現在の中心地への移転はアート・シーンの変化を如実に明らかにする。
Gilbert and George, THE URETHRA POSTCARD ART OF GILBERT & GEORGE. Photo: Bernd Borchardt
2010年4月にポツダマー通りに面する建物に移り入ったアールンドは、ソフィ・カルやギルバート&ジョージといった大御所や、今や世界中の展覧会に顔を出すジュリアン・ローゼンフェルドといった錚々たるアーティストの展覧会を移転後に矢継ぎ早に繰り出している。一方2011年4月に転居したエスター・シッパーは世界的に名の知られたピエール・ユイグの展覧会を現在開催しており、今後はギャラリーが抱えるトーマス・デマンドやリアム・ギリック、ドミニク・ゴンザレス=フォルステルといった国際的なスターの展示をこの場所で開くことになるだろう。
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