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「クワイエット・アテンションズ 彼女からの出発」展

HAPPENINGText: Memi Mizukami

ツェ・スーメイSachiko Mと音に関わる展示が続く。

砂の落ちる様子、レコードの回る様子を、動きを伴いながら鑑賞するツェ・スーメイの作品に対し、純音と言われるサインウエーブを展示会場でライブ録音したものを展示しているSachiko Mの作品は、同じ音を扱ったものでも異なった表現として、展示の流れとしても良い構成となっている。

アン・カンヒョン《Throwing a Dice》2011
アン・カンヒョン《Throwing a Dice》2011

そして、奥の部屋に行くと一変して違った世界観で、プレイグランドがあることに驚くだろう。アン・カンヒョンが造り上げたその空間は、色味のあるものを最近見ていなかったのではないかと自問してしまうほど華やかな空間であり、一つ一つの造形がとても興味深い上、実際に遊ぶことができる。現代美術館の中で作品を使って私たちは遊ぶことができるのだ。行かない理由はないのではないだろうか?コミュニケーションを問うたこの作品と共に印象的だったのはキュートな彼女自身でもあった。

ランジャニ・シェター《Sun-sneezers blow light bubbles》2007-2008
ランジャニ・シェター《Sun-sneezers blow light bubbles》2007-2008

この多種多様な作品達の最後に爽やかな美しさを、ランジャニ・シェターの作品から感じとって、ゆっくりと終焉に向かう。タイトルもまた「Sun-sneezers blow light bubbles」とポエティックではないか。近づいて良く見ると、その作品がハンドメイドであることに驚く。

現代において、女性作家というものが別段驚かれるものではなくなったが、女性故の母性、美しさ、勇敢さに無意識のうちに期待を覚えはしないだろうか。しかし、この展覧会を見て「これらを女性がつくったのだというから驚きだね」などと思う人はいないだろう。制作において性別というものからも、既に彼女達は出発しているのだろうし、それを武器にも味方にもしていない。ただ一つ言えることとして、彼女達は女性であると同時に少年の様な顔で良く笑っていて、それは確かに安心感のある力を秘めていたことだ。

これから水戸は美しい梅の花とともに良い季節を迎える。多くの関連企画とスケジュールを照らし合せながら、出発を見送りに行ってみてはいかがだろうか。

「クワイエット・アテンションズ 彼女からの出発」
会期:2011年2月12日(土)〜 5月8日(日)
※東北関東大震災の影響により展覧会は中止となりました
開館時間:9:30~18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜日
会場:水戸芸術館敷地内+現代美術ギャラリー
住所:茨城県水戸市五軒町1-6-8
電話:029-227-8111
入場料:一般 800円
https://www.arttowermito.or.jp

Text: Memi Mizukami
Photos: Yoko Hosokawa Courtesy of Contemporary Art Center, Art Tower Mito

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