ウィーン・アート・ウィーク 2009

HAPPENINGText: Daniel Kalt

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Museum Liaunig in Carinthia, 2007/08, © querkraft – Lisa Rastl

アーティストのスタジオ訪問も多数行われた。こうした企画はいつでも歓迎である。アーティスト達の創作プロセスをちょっと変わった視点からうかがうことのできる貴重な機会なのだ。カトリーナ・ダシュナーCollabor.atクヴェールクラフト・アーキテクツなど沢山のアーティストに会って話ができるほか、今年のリストにはオーストリア人ジュエリーデザイナー、AND_iの名も挙がっていた。これはアートと最新デザインを愛する人々にとって、世界的に知られる才能溢れるアーティストのスタジオを訪れるというとてもいい機会であった。AND_iのアンドレアス・エベルハルターは、ティエリー・ミュグレーなどファッションブランドとのコラボレーションを成功させ、2009年にはヴォーグ・ウオモの表紙も飾った人物である。

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Andreas Eberharter/AND_i in his studio © Martin Stöbich

最後に、ウィーン・アートウィークは、スタジオ訪問や、パネルディスカッションや、インディペンデントの仮設展示場だけでは物語れない。ウィーン最大の美術協会が運営するこのイベントには更なる見どころがある。エッスル・ファウンデーションベルヴェデールクンストラーハウスといった著名な美術館もこのイベントのプログラムや特別ツアー、スタジオ訪問や盛大なオープニングに携わっているのだ。

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Vladislav Mamyshev-Monroe, Monroe, 1996, Courtesy XL Gallery, Moscow © Vladislav Mamyshev-Monroe

印象深い展示「ジェンダー・チェック 東ヨーロッパにおける女性性と男性性」が、ウィーン・アートウィークの開催数日前からウィーン市内の現代美術館「MUMOK」で開かれていた。この展示は、東ヨーロッパとロシアの社会システムの崩壊以前の数十年の間にアート界の中に発展した、ジェンダーに関する考え方を包括的にまとめたものである。そして1989年以降の歴史的出来事に関して、ある特定の立場を示している。ベルリンの壁崩壊から20年を経た今、これは特徴的な視点から過去を回顧し意識の高い観客を惹き付ける、大きな影響力を持った興味深い試みである。この展示は今年のウィーン・アートウィークの背景に深く関わる企画である。つまりこのオーストリアの首都をもう一度、中央ヨーロッパの重要なクリエイティブの中枢として位置づけ直そうという試みなのである。

Vienna Art Week 09
会期:2009年11月16日(月)〜22日(日)
会場:Vienna, Aurtria
https://www.viennaartweek.at

Text: Daniel Kalt
Translation: Shiori Saito

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