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ヨリネ・オーステルホフ

PEOPLEText: Mariko Takei

あなたのデザインするプロダクトには不思議な物語があるように感じます。それぞれのデザインにストーリーを展開しているのですか?プロジェクトを手掛けていく上で一番重要なことは何でしょう?

自分のデザインでストーリーを語るのが好きです。特に、一時停止した物語。既存の物語を使ったり、そこに新たな物語を加えることもあるし、自分で作った物語の時もあります。自分のデザインで伝える物語は、初めて目にする時に明確なものでなければなりません。空気感みたいなものです。
シリーズで展開するのが好きで、家族のように捉えてプロダクトの制作を行います。こうすると、よりストーリー展開をしやすくなりますね。

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作品を制作する上でインスピレーションとなっているものはありますか?

インスピレーションはいろんなところにあります。大抵は日常やファンタジーストーリー、自然の中に見つけますね。特に自然の不思議だったり、動物が群れてどう生活しているか、群れの中の異なるキャラクターなどコミュニティーの形に興味があります。また、特別な風土のもと生活する動物や、厳しい環境のもと生きるのに進化した動物の群れ、人間が作りだした環境に自分達を適合させている動物などにも興味があるのです。
そのことは私のデザインから見て取れると思います。プロダクトに魂を吹き込むようなキャラクターを取り入れるのが好きで、その役割を果たすキャラクターを設定していきます。

何(誰)から影響を受けていると思いますか?

ボーイフレンドのエグバート・ヤン・ラムです。彼の批評はとても大切に思っていて、自分の作品について彼と話合うと、自分がまだ考えつかないことを気付かされます。それは本当に目からうろこですね。あと、私はとても頑固なところがあり、時にそれは良質なものを生んでくれます。

好きなものや人物を教えて下さい。

イームズが好きですね。彼らの考え方や息の長いエネルギーはとても興味深いです。他に好きなアーティストは、マシュー・バーニー、カタリーナ・フリッチュ、ダミアン・ハースト、レイチェル・ホワイトリード、イ・ヒョングなど。
でもそれは、デザインにおいて手本としている訳ではなくて、他の作家の作品を見るのが好きなのです。インスピレーションとしてではなく、どんなことやっているのかをもっと見てみたくて。作品作りにおいては、自分のことをすることが唯一必要なことなんだと思っています。
とても影響を受けた特別な本があります。ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」です。彼の変なものの考え方や疑いで全てを捉えることや、長く受け継がれているその原理などが好きです。キャラクターも素敵ですよね。他に好きな本は「ネバーエンディングストーリー」で、見ての通り、ファンタジーのお話が好きですね。
また、クレイアニメーションはインスピレーションの源となっています。1秒の映像を作るのにどれだけの作業が必要なのか、自分でクレイアニメーションを制作したことがあります。アードマンは好きなアニメーションスタジオのひとつです。顔の表情や性格の表現が素晴らしいですね。
尊敬する人は、自分に命懸けの人か、無力な動物の救助を命懸けでやっている人です。また、ボーイフレンド、母、父、姉妹も大好きな人達です。

オランダは、家具やインテリア製品など、プロダクトデザインでとても発展している代表的な国のひとつです。オランダのデザインシーンについてどう思いますか?

ダッチデザインは、明確で、落ち着いていて、論理的な製品と言われていて、そんなダッチデザインを有名にしたデザイナーには、ドローグマルセル・ワンダースユルゲン・ベイハイス・バッカーなどがいます。私たち若手は彼らの恩恵を受けていると言えますね。例えば、アートやデザインでは素晴らしい教育を受けることができます。たまに、オランダ人デザイナーであることの便益を感じることがあります。外国の人の中にはオランダ人デザイナーが好きな人もいて、そのことが、ある種の即効性のある質をもたらしてくれます。ビジネスの上では、そのようなことは関係ないでしょうけど。
また、デザイナーが、人気のある職業になりつつあります。年々世界中でデザイナーを目指す卒業生が増えていて、新しいデザイナーが増えていることから、著名なデザイナーになるのが段々難しくなってきています。私のゴールはそこにはなくて、自分のことをやりつつ素敵なプロダクトを作っていきたいと思っています。


Koppen, 2006

もうひとつ、コラボレーションしているデザインカンパニー「フリークス・ユナイテッド」について教えてもらえますか?

フリークス・ユナイテッド 」は、2006年にエグバート・ヤン・ラムと共同設立したデザインカンパニーです。当時、私たちの友人がグレイトーンズ2006というプロジェクトの展覧会「ヒューマン・フリークショウ」のためのプロダクトをいくつかつくってほしいと頼まれたのが始まりです。その制作に協力したことがうまくいきました。どちらかというと、エグバート・ヤンは技術者で、ヨリネはストーリーテラー。そのことがとても面白い作品を生み出しています。これまでに、ファーストクラス向け機内テーブルウェア、カナダのクライアントのインテリア製品やギフトウェア、フェアトレードのテーブルウェアなどを手掛けてきました。一緒に作業するのは気分転換になりますね。双方が好きなプロダクトを一緒に手掛け、お互いに譲歩しつつ、影響を与えたり受けたりしています。

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