HORT(ホート)
PEOPLEText: Yurie Hatano
今月のSHIFTカバーを手がけたのは、ドイツのフランクフルトにあるデザインスタジオ、ホートの二人、エイクとマーティン。ドイツのミュージック業界では言わずと知れた彼らのデザインは、独特で、ユーモアのセンスが至る所で見え隠れする。現在は、この7月にリリースとなるオリジナルブックの出版に向けて大忙しだ。
まずはじめに、自己紹介をお願いします。
エイクとマーティンです。二人でホートです。
まず、エイク・クーニッヒは、1968年にドイツのフランクフルトの近く、ハーナウという町で生まれました。ダルムシュタットの応用科学大学でグラフィックデザインを学びましたが、ロジック・レコーズよりアートディレクターとしての仕事の依頼を受けたことをきっかけに退学します。エイク・グラフィッシャー・ホートという独自のスタジオをオープンしたのは、その一年半後、1994年のことでした。そして2001年から、マーティン・ロレンツと共にホートを運営しています。
一方、マーティンは、1977年にドイツのハノーヴァーに生まれました。1996年、グラフィックデザインを学ぶために、フランクフルトの側にある小さな町、ダルムシュタットに移ります。3年後、ドイツのデザインに飽き、卒業することなくオランダに行きました。2000年に、自ら開始したアートプロジェクトのための商業的な独立の足場として「トゥーポインツ」を設立します。一年後にオランダ、ハーグの「ロイヤル・アカデミー・オブ・アート」を卒業し、エイク・グラフィッシャー・ホートにてアートディレクターとして働き始めました。2001年より、エイク・クーニッヒと共にホートの運営を開始しました。
ホートとは、 ドイツのフランクフルトにあるグラフィック・デザインのためのオフィスです。エイクとマーティンは、特に会社やバンド、ロゴ、ウェブサイト、フォト、イラストなどのビジュアルの仕事を専門としています。アートやグラフィックデザインも同時に行っており、カルチャー、ファッション、ミュージック、マガジン、その他彼らが繋がりを感じるもの全てに対しての制作をしています。
最近の活動について教えてください。
主には、これまでやってきたドイツのミュージック業界のための仕事を続けていますが、最近は、ホテル・フォックスにも参加し、ホテルの3つの部屋のデザインを手がけました。また、今年始めまでは、特別なイマジネーションを必要とする他のプロジェクトにも関わっていました。パリの側にあるメルセデス・ベンツ・センターに6mもの高さのイラストを数点制作するというプロジェクトで、正規の建築エージェンシーに雇われていたのです。突然自分の作品がそんなに大きくなって、歩いて通る場所に現れるというのは、感動的ですよ。
ホテル・フォックスのプロジェクトに参加した時の様子はどうでしたか?
初めて、完成したホテルを訪れた時、それはもう完全に圧倒されました。全ての部屋が全く違って、それぞれ印象的で。部屋の全てを鑑賞しきることができるまで、3、4度はホテルをまわらなければなりませんでした。3次元のスペースのための作業はとても面白かったです。今までも展覧会などで作品を作ったことがありますが、こんなに自由ではありませんでした。ディ・ゲシュタルテンとフォックス・ホテルのキュレーターは、とてもいい仕事をしましたよね。みんなで集まって作品をつくるというのも、とても楽しい経験でした。
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