しかし全ての作品が同じような不調和性を持っているわけではなく、根底にある遊び心、希望、生活の陰の部分が表現されている。「リリース」（油絵, 2002）という作品では、男の子が瓶を抱え、その形にうっとりとしている。超現実の空間では、３羽の鳥がその瓶口から飛び出し、子供しか持ち得ない精神的な自由を表現している。このような純粋なイマジネーションは、大人になるにつれて失ってしまうが、作品の中では取り戻すことができるのだとエリックは感じている。

2003年にアカデミー・オブ・アートカレッジを卒業して以来、エリックは、アーティストとして順調に進んできた。これまでにウエストコーストの20以上のギャラリーで展覧会を開き、ザ・フリーダム・ブック・プロジェクトなどの誌面で取り上げられた。

また、ヘラ・レコードから発売されている、Co-Deezの最新シングル「FIRM STANCE」のジャケットもぜひチェックしてほしい。このような多大な注目を集めはじめているにもかかわらず、彼はまだ始まったばかりだと話す。『僕はペンティングだけではなく、フィルムやデザインなど他の表現方法にも活動の幅を広げたいと思ってます。それが僕の人生で本当にやりたいことです。』

14時35分。ドアのブザー音が僕らの会話を遮った。レコードレーベルのマネージャーが小切手を持って、まだ乾ききってない絵を受け取りにきた。挨拶を軽く交わした後、僕らは玄関を出てそれぞれの方向へ分かれた。エリックは、キャンバスと、鶏肉（彼はルームメイトとの夕食にチキン・アドボを作ると言っていた）を買いに出かけた。