ネイションズ・バイ・ザ・リバー
PEOPLEText: Adrienne Adams
“軽快な旋律にのせた悲しい歌”。エド・カーンは、自身のオーストラリアの新人バンド、ネイションズ・バイ・ザ・リバーのデビューアルバムをこう表現した。6月10日、シドニーの小さなクラブでCDを発売し、ネイションズは数百人のファンや友人ら大観衆の前で演奏した。
4人の中心メンバー、ナダフ、エド・カーン(ジェルビゾン)、ルーク・スティール(スリーピー・ジャクソン)、オハド・ライン(オールド・マン・リバー)は、 2003年にジェルビゾンとスリーピー・ジャクソンが共にツアーをした頃からコラボレーションを開始した。『僕らはお互いのために、自分達が書いた曲を演奏することから始め、そこから僕らのコラボレーションはスタートしました。』とエドは思い出すように語った。『最初はジェルビゾンとスリーピー・ジャクソンの名でリリースをしました。アルバムを作るにあたってプレッシャーは全くなかったし、僕ら全員がうまくやっていました。本当に楽しいコラボレーションでした。』
『僕らはクラシックなレコードを作りたかったんです。シンプルで悲しい曲、でもそれらが鼓舞するように高揚していたのはそれらの曲が当時の僕らの経験を語っていたからです。ルークのバンドは解散するし、僕は恋人と破局するし…。面白いことに、僕らは長い時間を曲作りに費やしていたわけではなかったのですが、お互いが何か深いものを捉えていたんだと思います。』とエドは話す。
アルバムには全部で12曲入っており、それらの多くはボンディ・ビーチで路上演奏されていたものだ。もともとは自宅でレコーデイングするはずだったようだが、ジョン・オドネル(オーストラリアEMIのディレクター)が彼らが3日間レコーデイングに使ったスタジオに楽曲を持ち込んでみては、と提案したという。シンプルでカジュアルなアプローチを保ちつつ、それらの曲はスタジオに立ち寄った友人らと共に、やり直し無しのライブでレコーディングされた。
『サラ・ブラスコとも歌ったし、僕らがファラフェルの店でばったり出くわした家族のような友達であり、セッション好きで、天才的なコンポーザーでありピアニストでもある、偉大なドラマー、ハミッシュ・ステュアートとも演奏しました。あれは素晴らしかったですね。彼はそれまで僕らの音楽を聞いたこともなかったし、それになんといっても違う音楽の世界の人だったから、僕らがどんな事をしているのかどうやって説明すればいいのか分からなかったです。』
Text: Adrienne Adams
Translation: Ryoko Ogino
Photos: Laura Ibanez Bailey