SSBコンペティション
THINGSText: Sachiko Kurashina
前号で告知した、SHIFTの拠点である札幌の専門学校「札幌スクールオブビジネス」の学校案内パンフレットの巻頭見開きページのグラフィックデザインのコンペティションが開催された。テーマは、「クリエイターの考える明るい未来環境」。カテゴリーは、「都市」「仕事」「オフィス」の3つ。
1ケ月という短い募集期間にもかかわらず、85点にも及ぶ多くの作品が集まった。クオリティの高い作品が多かったのも印象的だった。今回、採用に選考された作品は、学生の為のパンフレットという目的の為、比較的分かりやすい作品が選ばれた。
以下、パンフレットに掲載の決定した作品(最優秀作品)と、残念ながら選考にはもれたが、優秀な作品をSHIFT賞(優秀賞)として掲載する。受賞クリエイターによる作品解説も掲載しているのでご覧ください。
最優秀作品
カテゴリー:CITY
スウェーデン出身の21歳。スットクホルムのフォースバーグス・スクール・オブ・グラフィック・デザインの1年生。
作品解説:この作品は、将来発展し続ける都市において人々が、環境をお互いに共有する方法をどう取得しなければならないか、について表現しています。その結果、私達は動物と友だちにならなければいけないと思います。私の作品が選ばれてとても嬉しいです。この作品にはある種の素朴さが込められています(ペンギンも可愛いと思います)。誰も私の作品が選ばれると思っていなかったので、私自身もとても驚いています。
カテゴリー:JOB
アメリカで活動するアート・ディレクターのニック・フィリップ(34歳)と、プロテージ・デザイナーのサイモン・コリー(42歳)から成るデザインユニット。1999年からその活動を始め、ストリートウェアからイコン的なビジュアルイメージを再認識するシリーズ「REMIX」を手掛けている。
作品解説:「仕事」についてのアイディアは、「場所」を超越したものになってきていると思います。私達の指からネットワークを繋ぐケーブルは、隣のデスクぐらいの近距離で他国との繋がりを持てるようなものです。自分だけではなく、お互いに向上できる様に、このチャンスは大いに活用すべきだと思います。
カテゴリー:OFFICE
香港でグラフィック、ウェブデザイン、イラスト、マルチメディアと幅広く手掛けるデザイナー。25歳。
作品解説:「息子よ。今日の新聞を読んだか?世界の経済は低迷の一途を進み続け、年を追うごとにその状況は悪化して行くように思われる。だからと言って、むしゃくしゃしてはいけない。」と、言ったのは私の父だった。私が失業したのはかなり前。そして遂に貯金も底をついてしまった。何百という履歴書を送ったにもかかわらず、一通の返事も来ない私に彼女は愛想をつき、アパートを追い出されてしまった。ああ神様、こんな私だって一時は結構人気のあるデザイナーだったんだぞ!もう諦めた方がいいのかな?大声で暴れて、何もせずに座っていればいいのだろうか?こんな時、何をすべきなのだろうか?昔のデザイナーの多くは、貧乏にも関わらず素晴らしい作品を沢山作りだしていた。彼等が必要としたものと言えば「イマジネーション」と「技術」だった。イマジネーションするのにお金はかからないが、これが唯一、デザイナーを明るい未来に導いてくれる術に違いない。私はそう信じているし、このような作品を制作した理由はここにある。
SHIFT賞
カテゴリー:CITY
ファイン・アートを勉強した後、グラフィックデザイナーとして活躍する27歳。
作品解説:これは、未来の街をグラフィック的に描写した作品です。現在の形を余り変えずに、人込みや高層ビル等を表現してみました。
カテゴリー:JOB
大学で、ビジュアル・コミュニケーション・デザインを専攻した後、現在はインドネシアのジャカルタで、フリーのグラフィック/ウェブデザイナーとして活躍する22歳。
作品解説:自宅から職場までの道のりで私達が遭遇する交通問題によって、私達が無駄にする時間の量は多大です。もしこの問題が解決されれば、同じ分だけの時間を、例えば、家族と過ごしたり、勉強にあてたり、サイドビジネスを始めたり、ちょっと昼寝をしてみたり、といった感じに使えるのです。そこで私は、この問題を解決できるであろうツールについて考え、今回の作品で表現してみました。それには、持ち運びが可能で使い易いという特色があり、また、指一本でネットワークへの接続も可能で、あらゆる情報を得ることもできますし、他の人とインタラクトすることもできるのです。最大の魅力は、24時間という限られた時間以上の時間を与えてくれる、ということです。
カテゴリー:OFFICE
オーストラリア出身の28歳。大学でイラストとデザインを専攻した後、フリーのイラストレーターとして活動を始める。地元、海外の出版社、企業を問わず、幅広く作品を制作。
作品解説:感動が薄く、閉鎖された憂鬱なオフィス環境で人々は働き過ぎていると思います。そこで私が考えたのは、もしオフィス環境が自然やファンタジーと溶け合ったらもっと改善されるだろうな、ということです。作品の中では、このようなアイディアが融合された職場のマジカルな可能性を表現しました(また私自身、昆虫や奇妙な生物を描くのが大好きなのもあります!)。
Text: Sachiko Kurashina