立花ハジメ「THE END」
THINGSText: Jiro Ohashi
実際立花氏は、iモードサイトとしての「The END」を自身のニューアルバムだとも表現している。アップされている着メロの中には、2分近いループのものもある。着メロの機能としては最後まで鳴らすケースはまず無いだろうが、これを楽曲として見れば、携帯の「着メロ再生」機能はウォークマンの「PLAY」ボタンと同じ機能にもなる。すると携帯端末は4声のシンセサイザー音源となり、着メロは単なる「着信音」ではなく「環境音」、そして「音楽」ともなるだろう。
立花ハジメ
そしてこのサイトのもうひとつの特徴は、レギュラーアーティストの他に、ゲストコーナー、そして投稿コーナーが用意されているところ。これは特定のアーティストにコンテンツを固定せず、公認サイトとしての利点を最大限に発揮する試みでもある。投稿受付という形で外に開かれることで、コンテンツを制作する全てのユーザーが、実質的に「公認サイトを共有できる」という意味もあるという。
いわゆる「勝手サイト」と呼ばれるボランティアサイトは、現在約2万件以上あるといわれるが、公認と勝手との大きな違いは、ダウンロード見合いでギャランティされるかどうかという点。自分で作りたいものを作り、自由にアップロードすることはそれこそ「勝手」なのだけれど、そこにクオリティのジャッジと社会性・経済性を備えた双方向性が備わる点は大きい。
「公認」というと体制的、お上的なイメージも正直あるけれど、「勝手」という名のミニコミ的アマチュアリズムと明確な一線を引くには有効だろう。グローバルネットワーク・メディアとしてのウェブサイトの、混沌と可能性に相変わらず注目しながらも、ローカルネットワーク・メディアとしての iモード を正面から捉える試みとして興味深い。
「The END」へのアクセス
iモード → エンターテイメント → ヴィジュアル → アーティスト C.The END
Text: Jiro Ohashi
