篠田千明「ZOO」

HAPPENINGText: Noriko Ishimizu

2月15日から18日にかけて東京の北千住「BUoY」で演出家で作家の篠田千明による作品「ZOO」が上演された。初演は、2016年11月に京都芸術センターで行われた「京都国際舞台芸術祭」のプラグラムで、今回は「TPAM 国際舞台芸術ミーティング in 横浜 2018」の公募プログラムであるTPAMフリンジプログラムの一つとして上演され、東京初公演となった。

「観客は世にも珍しいヒト、という生き物を見るために集まってくる。場内には柵に覆われた場所にヘッドマウントディスプレイをかけているヒト一人と、会場全体をガイドするヒト二人がいる。ヒトの身体的な説明から始まり、動くヒト、他人を真似するヒト、コミュニケーションを取り合うヒト、などをガイドの案内で次々に紹介していくにつれ、ヒトがヒトを見物する境界線が崩れ始める。」

「ZOO」のオフィシャルサイトにある説明の通り、会場では「ヒトの展示」が行われている。同公演に観客の席はない。まず受付で荷物を預け、人工芝やモニター、台や柵などがある会場内を歩き回るのだ。

柵の中には、半裸の男(福原冠[範宙遊泳])がいて、ヘッドマウントディスプレイを着用している。また他のパフォーマーに女性2人(増田美佳、Yamuna Bambi Valenta)と茶室のようなスペースに男性(竹田靖)が1人。なお公演中の撮影は可能となっている。いや、むしろ観客はそれを促されていると言っていいだろう。視界を閉ざされ下着姿に近い男に観客はカメラを向けることになる。

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ZOO東京公演より

「ZOO」にストーリー展開はない。展示される「ヒト」を見せるためのイベントが淡々と行われていく。パフォーマーの女性が「ヒト」というものの説明を始める。一方で半裸の男性は映像に流れる文を意味のない記号のように読み上げている。このヘッドマウントディスプレイの映像は、モニターに流され観客にも共有されている。

「シャッターチャンス」だというペンギンの行進では旭山動物園のアナウンスを模した音声が流れ、観客たちがカメラを構えるとパフォーマーの女性が1人、前を進んでいった。モニターにはポリゴン状のペンギンが映し出されている。

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ZOO東京公演より

「人にエサを与えられます。エサをあげてみませんか」と、色のついたゼリー状のものが配り始められた。エサを手に取った観客は視界が遮られた男を呼び、手から犬食いのように食べさせるのだ。好奇心半分で「ヒト」にエサを与えるもの。表情を曇らせるもの。観客の反応は分かれていた。

茶室のようなスペースにいた男の存在を忘れていた。男は猿の面をつけ狂言を舞い始める。やがて舞台から降り、すり足で進むと、半裸の男のヘッドマウントディスプレイを外し去っていった。奇行を繰り返し、カメラを向けられる対象だった男の顔が露わにになった。

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ZOO東京公演より

パフォーマーの女性が観客に、事態は収束に向かっていることを繰り返しアナウンスしている。「ヒト」を展示する動物園の管理プログラムは、ヘッドマウントディスプレイを取り去ることで崩壊したのだ。

視界を取り戻した男は台に立ち、「意味のない言葉」について語り始める。そして、ジャングルのような空間の中でパフォーマーの2人と、動物の鳴き声のような言葉でやり取りを行なった。

半裸だった男が服を身につけ、観客が腰を下ろしていた台に座り、公演は終幕となった。

演出は、快快(ファイファイ)の演出家として活動し、脱退後はタイやバンコクに活動の拠点を移した篠田千明氏。チリの劇作家のマヌエラ・インファンテの戯曲「動物園」を元に制作した。

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