ダニエーレ・タマーニ写真集「ファッション・トライブ」

THINGSText: Ayumi Yakura

サプールだけではない。世界各地で今「ファッション・ルネッサンス」ともいうべき現象が同時多発している。その動向をいち早く察知し、7ヵ国の躍動するストリート・スタイルを捉えたのは、コンゴのスタイリッシュな紳士たち「サプール」を特別な存在として世に知らしめたイタリアの写真家、ダニエーレ・タマーニだ。

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ヴィンテージ・クルー(南アフリカ)

写真集を開いてまず初めに驚かされるのは、ダンスとファッションを通して自己表現を行う南アフリカの野心的なグループ「ヴィンテージ・クルー」のスタイルだ。かつて美術史の教師でもあったタマーニは、被写体と何日もの時間を過ごし、その背景や文脈も含むイメージを捉えながら、インタビューと共に記録することに成功した。

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ヴィンテージ・クルー(南アフリカ)

『本当に薄汚い場所から出ても、大切なのは自分をどう見るかだ。ゴミか黄金か。誰も人の奮闘は見えないものだし、故郷に置いてきたものも知り得ない。大事なのはどう自分を提示していくか、それが一番だ』(マント・リベイン/ヴィンテージ・クルー)

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スマーティーズ(南アフリカ)

メッセージの一部にはネルソン・マンデラへの哀悼も含まれている。アパルトヘイトの時代に誰がこの現象を予想しただろう?若い彼らに共通するのは、劣勢に絶望せず、先入観を退け、自らのクリエイティビティで尊厳を得て、自由なスタイルを楽しんでいるということだ。

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フライング・チョリータス(ボリビア)

『通常のファッションの文脈から遠く離れた国々や都市を選んだ結果、僕はグローバリゼーションがもたらしたスタイルという現象を俯瞰して見せたかっただけでなく、伝統への抵抗とその継承、そんなことを記録したいと思った』とタマーニは語っている。

伝統的なフレアスカートの衣服を纏いながらレスリングをするボリビアの女性も、セクシーなファッションでナイトライフを楽しむセネガルの女性も、その国が歩んできた歴史の上で、スーパーモデルには歩けない、彼女たちの“キャットウォーク”を歩いているのだろう。

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ソランジュ・ノウルズ(アメリカの歌手)と、サプール(コンゴ)

後半では、コンゴの紳士たち「サプール」やキューバの若者たちが熱帯らしいビビッドな着こなしを見せる一方で、70年代イギリスのパンクスにインスパイアされたミャンマーの若者、80年代のヘビーメタルに西洋のカウボーイとアフリカのスタイルをミックスしたボツワナの男女など、コミュニティの哲学で再解釈されたダークなスタイルも見比べてほしい。

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アフロメタル(ボツワナ)

この写真集は、被写体へのインタビューのみならず、ファッション・ジャーナリスト、社会学者、美術研究者らによる解説やエッセイが収録された点でも画期的であり、ファッションを愛する多くの人々にとって大切な一冊となるだろう。

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FASHION TRIBES GLOBAL STREET STYLE
著者:ダニエーレ・タマーニ
仕様:B5変型・上製、292頁
定価:3,200円(税別)
発行月:2016年5月
発行:青幻舎
http://www.seigensha.com

Text: Ayumi Yakura
Photos: Daniele Tamagni

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