第8回 ニューヨーク・アートブックフェア

HAPPENINGText: Setsuko Hori

2013年のニューヨーク・アートブックフェアは9月19日から22日にロングアイランドシティに位置するMoMA PS1 にて開催された。世界中から280以上もの出版社、アーティスト、ギャラリー、古書店等が参加し、27000人以上の来客がある世界で最も盛大なアートブックフェアである。

アーティストでもあるAAブロンソン氏が、ニューヨークのチェルシーにある非営利のアートブックストア、プリンテッド・マターのトップを勤めていた際に発足され、今年で第8回目を迎えた。今やアートブックフェアは世界各地で行われ、デジタルの波で印刷業界が危ぶまれているのが嘘であるかのように、インターネットやフェイスブック等の普及によりむしろ注目されはじめ、ロンドンなどの大都市では小さな独立系の書店が次々とできるまでになった。

ニューヨーク・アートブックフェア
ドームの中でブルーノ・ムナーリの展示をじっくり鑑賞するもよし

さてニューヨーク・アートブックフェアは、80年代の西海岸のミュージックシーンを思わせるようなファンジンから、独立系出版社によるものや、大御所ギャラリーの出版物が並び、それにまつわるアーティストのイベントやサイン会、中にはパフォーマンスといったハプニングアートまでも行われており、じっくり見回るには1日では足りないくらい、充実した内容になっている。

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各出版社による展示も見応えたっぷりで、見ているだけでも楽しい!

まるでアートスクールの学園祭のように中庭で、ミュージシャンやバンドの演奏が鳴り響き、人々は飲食を楽しみながら購入したアートブックを鑑賞し、または友人に偶然再会し近況を話し合っていたり、子どもから様々な年代の人々がアートブックフェアを楽しんでいる姿が多く見られた。楽しむことに大いに長けていて、アメリカ的なコケティッシュなユーモアを感じさせもした。例えば、ティアドロップ型のサングラスをかけたミュージシャンが長髪をふり乱しながらも、ただ必死に情熱的にドラムを、たった独りでずっと叩いていたり!

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