チャン・シー

PEOPLEText: Michael Sullivan

ロンドンカレッジ・オブ・ファッションを2012年に卒業したチャン・シーのデザインはユニークで、見る側を考えさせる作品が多い。色々なアイディアのもと表現されたハグ・ミーは、ファッション界を騒然とさせた。強烈なメッセージ力がある彼のコレクションは、カラフルでありながら心地よい情景を思い起こさせると同時に、孤独とその深い感情をも感じさせる。ファッション界のニューフェイスである彼に、デザインに対する想いや、仕事についてお話を伺った。

Si Chan

デザインする上で気にかけている事は何ですか?

最近のファッションは無作為に発展途上国の自然や人々を利用しています。長時間労働で信じられないほどの低賃金で働く労働者がいて、より安い服が出回っています。また布工場は低コストを目指すがために、環境汚染や健康問題など後を絶ちません(この問題はその他産業も同様です)。欲望を満たすための代償です。低ロットでの生産には、創造力、品質、価値、製品のユニークさなど維持だけではなく、環境への影響に配慮した責任あるやり方で生産しなければなりません。人々が上質な服を選びながらも処分しやすい安い服を買うことを続ける限り、大量生産も同様です。この方法は社会的文化の向上と、地球への行動を少しでも改善できると思います。これが将来的な自分のファッションデザインにおける小さな野望です。

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デザイナーであるために何がモチベーションとなっていますか?

何がモチベーションになっているのかはっきりとはわかりません。ただ、音楽を聞いているときにイメージやカラーが頭に浮かんできます。ミュージシャンが歌っているとき、どんなパフォーマンスや衣装が曲にマッチするかを無意識に考え始めます。これはオリジナルのアイディアを始めるときの方法です。(実際、それはコスチュームデザインになるのですが、私がしているのはデザインという大げさなものではありません)。そうやってパフォーマンス、ストーリー、スタイルや服の多くのアイディアが閃き続けるのです。私がファッションデザインに携わるのは、壮大な野望があるからではないのです。そのアイディアを現実にしなければ無駄になってしまうから、という理由です。アイディアは常にあります。他の才能は自分にはないからかもしれません(笑)。

2012年のコレクションのインスピレーションは何ですか?際立っているのは手のモチーフですが、そこにはどんな想いがありますか?

デザイン・インスピレーションは、子供の頃の思い出や、寂しさから来ています。ご覧の通り全てカラフルで、詰め物を入れた服は皆をハッピーに、心地よく、そして守られているように感じさせます。手のオブジェクトは、都会の人々と彼らの欠乏と欲望の繋がりの抽象的な概念を表しています。当然、ごく一部の人にはコレクションが病的で気持ち悪く映るでしょう。実際、都会の人はある程度こんな感じですし、僕もそんな感じです。

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