リール・アートフェア2013

HAPPENINGText: Valérie Douniaux

リール3000以降、リールでは最も大きなアートイベント「リール・アートフェア2013が行われた。これら2つのイベントの目的は全く違い、リール3000は大きな公開イベントで、数ヶ月で幾千もの人が入る。一方、リール・アートフェアは、クラシックなコマーシャルフェアで、とても限られた時間内で、参加ギャラリーが販売目的でアート作品を展示する。

リール・アートフェア2013
© Maxime Dufour

リール・アートフェアは、幅の広い通路に丁度良い大きさのブースが用意され、地下鉄からアクセスの良いリールのグラン・パレという立地条件の良い素晴らしい会場となっている。今年は、120のギャラリーや出版社が12500㎡もの敷地に出展していた。14つのブースは地元のギャラリーが、それ以外のブースはパリやそれ以外のフランス国内の地域、ベルギー(リールに近いという土地柄を生かして、ベルギーからの出展が多い)や日本からも出展されている。(フランティック・ギャラリーは、カットログというアートフェアで既に出展している)パリのギャラリー・ヴァネッサ・ローのブースでも、渡邉順子、福元なお、安楽雅志など多様なスタイルの日本の若いクリエーターの作品が展示されていた。今年のリール・アート・フェアの主賓は、フランスの有名人、エルベ・ディ・ロサだった。彼の作品は、エディションズ・パスニック(プリント)、ADギャルリー(絵画)、アラン・ビュイス(シルクスクリーン)、アート・トゥー・ビー・ギャラリー(彫刻)、ギャルリー・マゼル(ドローイング)等いくつかのブースで見ることができる。

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© Gallery Vanessa Rau

このイベントは、アフォーダブル・アート・フェアと同じチームによって企画されている。それは、始めから、リーズナブルな価格帯で、有名なアーティストから若手、無名のアーティストの作品まで扱う。いつでも良質なギャラリーとある種、装飾的で商業的なギャラリーは並列的に存在する。この二つの間の錬金術は、過去に解かれた事は一度も無く、その溝はかつて無いほど大きい様に見える。しかし、いくつかのとても面白いギャラリーもあり、そのうちのほとんどのギャラリーは純粋に装飾的なペインティング、彫刻や写真を取り扱い、その印象的な作品はリビングルームに飾るには適しているかもしれないが、独創性や大胆さが微塵も感じられない。同じ作品を何度も見ている感覚を持つかもしれない。ディボンの大きい都市的、建築的な写真やジャコメッティの彫刻、キロの印象派の様なペインティングの様に。

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© Maxime Dufour

それでもやはり、目を引く作品は沢山ある。プリントやアーティストブックが中心のプリント・アート・フェアは、少数刷のアートブックや、アーティストや美術学校の生徒によるデモンストレーション等、このフェアでも一番面白い企画の一つと言ってもいいだろう。同じセクションの中でも、地元のギャラリーであるレ・スペース・ドゥ・ドゥダンのオーナーであるマリー・クリスティーヌ・デュボワの選んだ作品はいつも通り素晴らしかった。レ・スペース・ドゥ・ドゥダンはリールの古い町の小さなスペースのギャラリーで、大抵は小さい型やアーティストブックの展覧会だが、リール・アートフェアでは、ジェラール・ドゥシェンヌの作品や、それよりも小さいが、高い品質の松谷武判の作品を展示している。

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© Maxime Dufour

YIA(Young International Artists)は、その名が表す通り、新進のキュレーターに焦点を当てたもので、260平方メートルのブースに作品が並んだ。それぞれのギャラリーはここでは一人のアーティストの小規模な個展を開催し、イラン・エンゲル(パリのステファン・クラスニャンスキの作品知られている)の様なとても良いギャラリーもここに出展をしていて、面白い発見ができる事は明らかだ。

チャイニーズ・アートは今年の勢いのあるギャラリーでよく見られた。また、YIAでもパリー北京で発表された作品は既にリール3000開催期間中にリール美術館で開催されたバベル・エキシビジョンではお披露目されたていた。例えば、ガラリエ・ドック・スドで展示されていたヤン・ロンギャンによる壮大で快活なライティング・ボックスや、ノレブ・オーバーのブースで発表された沢山の中国人アーティストによる写真やビデオ作品などだ。

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© Schlosser, Gallery Guiraud

例えリール・アートフェアがそれ自体を現代アートのフェアと位置づけたとしても、必ず多くの近代アート作品が見られ、超有名な地元のアーティストであるユージン・ドデインやジェーン・ロウランドや最近ではラディスラ・キーノを発表していたレジス・ドーヴァルとアントワン・デレライヴ・ギャラリーズの様に切っても切れ離せない存在である。忘れてはいけないのが、パリのギャラリストであるデビット・ジラウドだ。彼のブースでは、ウィリー・ロニスやそこまで有名というわけでもないが、才能のある、イギリスのドキュメンタリー写真家ジョン・バルマー等、古典からコンテンポラリー写真の素晴らしい作品を見ることができる。彼のパワフルなイメージは、私のこのフェアでの「クープ・ド・クール(ひとめぼれ)」だった!近所のガドコレクションも素晴らしい写真のコレクションを展示していた。

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© Maxime Dufour

最後にその他のブースとアーティストについては、一つ挙げるとしたら、パリのアレクサンドラ・ラザリュー・ギャラリーのオリバー・カテのダンボール素材を削ったり、剥がしたりして作った鳥瞰図の様な町並みの作品が素晴らしかった。

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© Maxime Dufour

まとめると、リール・アートフェアがヨーロッパの数ある名の知れたアートフェアの仲間入りをしようとするならば、少なからずリスクを冒さなくてはならないし、商業的なギャラリーを減らさなくてはならない。リールは、パリ、ブリュッセルとロンドンの間と、便利な位置にあり、これらの首都から来場者のアクセスは良いが、それと同時にそれらの都市で開催されるアートフェアと競争を強いられる事も意味している。これらの事から、リール・アートフェアは、独自の視点で、“ヨーロッパの交差点”として確固たる地位を確立しなくてはならない。

Lille Art Fair 2013
会期:2013年3月7日〜10日
会場:Lille Grand Palais, 1 bvd des Cités Unies, 59777 Euralille, Lille
http://www.lilleartfair.com

Text: Valérie Douniaux
Translation: Kazama Yoko
Photos: Lille Art Fair

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