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アート京都 2012

HAPPENINGText: Satsuki Miyanishi

メイン会場では、ブースの広い空間をうまく利用し、ギャラリーごとに違った見せ方をしていた。ホテルの展示に比べ、大きな作品を展示できることもあり、一つのインスタレーションを大きく展示した迫力のある作品など、ブースごとに雰囲気の異なる空間が表現されていた。京都での開催ということもあるせいか、桜や日本をイメージした作品も多い印象を受ける。

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小出ナオキ「new home」 / 国立京都国際会館 Photo: 表恒匡 © ART KYOTO 2012 実行委員会

入り口からほど近い場所では、東京と京都でギャラリーを展開する小山登美夫ギャラリーから出品の小出ナオキの作品「new home」が観客を出迎える。何かのキャラクターのような大きな唇が印象的な女性、少し小さめな男性が手をつなぐこの作品は、作家自身とその妻を表現しているという。いつも自分自身の身の回りの人物、関係性のある人やものを主にモチーフとして扱うという彼の作品、今回出展された「new home」も作家が感じる夫婦の関係性を巧みに表現し、強い存在感でメディアの注目を集めていた。

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COHJU contemporary art / 国立京都国際会館 Photo: 笹倉洋平 © ART KYOTO 2012 実行委員会

地元京都のギャラリーが多数出展する中、江寿コンテンポラリーアートからは、桐山征士、坪田昌之などの作品が出展された。金属造形作家として活動する桐山氏は女性のボディラインを鉄で表現する。幅のある帯状の鉄で形作られた女性のフォルムは、正面から見ると向こう側が透けて見え、空中に書かれた絵のようにも見えるのも不思議。体の一部の作品は一瞬何かの模様にも見えるのだが、足や胴体のみでもみごとに女性の美しさを表現している。

造形する際には、理想的な体型の女性ではなく普通の女性をモデルにするのだという。また、国内外で活躍する彫刻家坪田氏の作品は薄い四角形が積み重なった形や溝が繰り返される。一つ一つの手仕事から生まれるゆらぎや、その繰り返しが目の錯覚を引き起こしたりと面白い。シンプルな形状ながら、その重なりには私達自身の記憶や時間などといったものにリンクしているようで作品に引き込まれる。

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GALLERY INCURVE KYOTO / 国立京都国際会館 Photo: 笹倉洋平 © ART KYOTO 2012 実行委員会

キャンバスを埋め尽くす緻密な線が目を引くのはギャラリー インカーブ|京都の寺尾勝広の作品。彼の作品のモチーフは全て鉄。実家の鉄工所で20年間働いていた経験もあり、大好きな鉄からインスピレーションを受けているという。国内のみならず海外でも人気が高く、有名なイギリスのコレクターも彼のファンだという程だ。ギャラリーインカーブは社会福祉法人が知的に障がいのある現代アーティストたちの作家としての独立を支援している。アトリエインカーブの創設者、今中博之が語る「アカデミズムに支配されないオリジナリティー」という言葉がぴったりの作品で、どの作品もアートに対する真っ直ぐさが感じられる。

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