ション・チャオ

PEOPLEText: Emma Chi

2010年に中国環境保護基金会のために行われたグリーンウォーク・イベントはパフォーマンスアートによって表現された公共広告である。上海市長自らの参加を含む、のべ392,000人による共同創作だ。ション・チャオ(熊超)は中国人で2人目の受賞となったカンヌ国際広告祭の金獅子賞を始め、英国王室の国際環境保護賞を授与されるなど、世界的な評価を受けている。フランスのカンヌ、英国のD&AD、LIAA、アメリカのONE SHOW、CLIO、ANDY、NYF、ADC、AME、オーストラリアのAWARD、アジアのADFEST、SPIKES、LONGXI等、ション・チャオが受賞してきた多くの賞は、ここ12年間の彼の創作に対する変わらぬ情熱を証明している。

ション・チャオ

主に広告制作に力を注いでいるが、絵画、彫刻、インスタレーション、パフォーマンスアート、環境スペース、グラフィックデザイン、コンテンポラリーアート、ショートフィルム、写真等、多くの領域に渡りクロスオーバーな実験を行っているション・チャオは湖南生まれの37歳で、現在はDDB上海のシニアクリエイティブディレクターを務めている。中央工芸美術学院と湖南商学院のデザイン科で学び、98年に卒業した後は子供のような心を抱き北へ南へと駆け巡り、4A(The American Association of Advertising Agencies)広告会社のアートディレクターやシニアクリエイティブディレクターを務めた。

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《グリーンウォーク》

「グリーンウォーク」について教えて下さい。

グリーンウォークは街頭の人々の助けを借りたインタラクティブなパフォーマンスアートで、知らず知らずのうちに誰もが環境保護活動の一員になってしまうというものです。まず冬に100枚近く撮影した形の異なる枯れ木の写真の中から枝の成長が良いものを選び、剪定(せんてい)を加え、理想的な枯れ木をデザインします。そして白紙の上に墨汁を垂らし口で息を吹きかけ、墨汁を滲ませて水墨画の様な質感をつくります。それをパソコンにスキャンしたものと本物の木の写真を重ね合わせた東洋的雰囲気のある葉の無い大木を12.6×7mのキャンバス地にプリントしたのです。こうしてできたポスターを信号の前の横断歩道に敷き、両端には環境に優しい速乾性の緑の顔料を染み込ませたスポンジを設置しました。多くの通行人がその上を踏んで歩くことで、枯れ木にたくさん緑の葉が生い茂るのです。あらゆる人々の自由な歩行という無作為な方法でポスター上に緑の葉が生え、通行人もポスター創作の一員になります。これは人々の共同参加によって創作された環境保護のポスターなのです。

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《ヘアリボンの少女》

「ヘアリボンの少女」は日用品を用いて制作されていますね。

日用品そのものは絶妙な芸術品です。また生活の中には人を芸術家にさせてしまうチャンスが多く存在します。ある立体作品シリーズを制作したとき、まず幅2.5m高さ2.5mの巨大なパネルを作り、安く買うことのできるあらゆる日用品を直接パネルの上に置き、ロイ・リキテンスタインの代表作「ヘアリボンの少女」を描いたのです。「No.15」も同じ手法でジャクソン・ポロックの作品「No.15」を描きました。

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《自画像》
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《No. 15》

「OPEN ME」は喫煙に関する作品ですが、創作の動機を教えて下さい。

中国では副流煙の受動喫煙により、自身と胎児の健康が危険に晒されている妊婦が1.8億人もいます。そしてその副流煙は家族の喫煙によるものが90%です。妊婦援助団体は母子の健康のために、妊婦の前で煙草を吸わないよう呼びかけています。そこで私は特別な妊婦の彫刻をつくり、病院の産婦人科の待合室に設置し、そこを展示スペースとしたのです。彫刻は台の上に置き「開けて下さい」と書かれた札を貼りました。検査に訪れた妊婦と付き添いの夫が彫刻を開けると、中には赤ん坊の彫刻があります。更に赤ん坊の彫刻を開けると、そこには座って煙草を吸っている男が出てきます。これには『妊婦の前で喫煙することは妊婦と赤ん坊の体の中で喫煙するのと同じことだ』というコンセプトが込められています。

Text: Emma Chi
Translation: Daiki Kojima

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