「雪花と秘密の扇子」

THINGSText: Emma Chi

情感を描いた大作「雪花と秘密の扇子」が6月24日に中国で公開された。時の移り変わりや巡り合わせの中で、分かつことのできない姉妹の愛情が綴られている。ストーリーの舞台は19世紀のとある片田舎。少女たちは “老同”(中国湖南地方の伝統的な習慣で、女性同士がする深い心のつながりを持つ姉妹の契約のこと)の契りを結ぶ。その友情は一生続く。彼女たちは男性には読めない女文字を使い扇子やハンカチに気持ちを書く。それが意思疎通の暗号となっていた。
この映画のプロデューサー、フローレンス・スローンがインタビューに応じてくれた。

雪花秘扇
「雪花と秘密の扇子」(2011)

この映画を制作することになったきっかけはどのようなものだったのですか?

ウェンディー(本作品のもう一人のプロデューサー)と私は全く異なる時期に、全く異なるきっかけで「雪花と秘密の扇子」と出会いました。私は読書が好きで、「雪花と秘密の扇子」はその頃最も流行している小説でした。この小説で心の底深く感銘を受けました。恐らくそれは、私が中国人であるにも関わらず、今まで中国に住んだことがないからだと思います。このストーリーに触発され、私は祖先の文化を更に理解したいと思うようになりました。私の祖母も当時纏足(てんそく)の苦痛を経験しました。彼女たちの挑戦する気持ちと姿勢は常に私に感動を与えてくれました。

この映画を通してどのようなことを観衆に伝えたいですか?

“友情”、それこそがこのストーリーの背景に込められた意味なのです。ストーリーの最も根本的なテーマは一種の深い友情です。もし本当にその友情があるなら、たとえ何が起きたとしても、お互いが支え合い乗り越えることができるということを私たちに教えてくれます。私はこのような視点でこの映画を撮影しなければと思いました。

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「雪花と秘密の扇子」(2011)

ウェンディー・ダンさんも今作の制作に参加していますが、彼女についてお話を聞かせて頂けますか?

ウェンディーと私はある日ランチを一緒にした際、この小説の話題になりました。ウェンディーは人気作家であるエイミー・タンの紹介で『雪花と秘密の扇子』に触れました。私たち二人はこの小説に対する思い入れについて熱く討論しました。この小説は“誰か”が絶対に映画化するべきだということになりました。そしてその“誰か”が私たちになったというわけです。

その後、私たちはビッグフィート・プロダクションを創立し、プローデューサーとしての道を歩み始めました。素人である私たちにとって映画制作というのはとても大きな挑戦でした。まず始めに原作者のリサ・シーに会って版権を買いました。

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