コシノジュンコ + 矢柳剛「越境」

HAPPENINGText: Hiromi Nomoto

越境とは、国境や境界をこえて他の領分に入ること。

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ファッションデザイナー、コシノジュンコ氏と現代美術作家、矢柳剛氏が、両者初となる共同制作を行った。矢柳氏の個展で互いに知り合い、彼の版画をコシノ氏がデザインするという今回の共同制作に至ったのだ。

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8月8日に行われたオープニングレセプションでは、コシノ氏がデザインした服を身にまとった二人のモデルが登場した。そして798芸術区の特徴的な工場の面影が残る空間の中、矢柳氏の作品の間を通り抜け、その場はアートの熱気とデザインの華やかな空気に包まれた。

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今回の共同制作について教えてください。

矢柳:初めての共同制作です。このようなことは日本でもありません。純粋美術とデザインの組み合わせは画期的です。個性と個性がぶつかり合いハレーションが起こりますが、それでもバランスが崩れない様にしないといけない。この企画には刺激と面白さがあります。また見る側にとっても刺激がある。これを多くの若い人達に見てもらいたい。今回の試みが未知な空間を表現出来る足掛けになればいいと思います。

コシノ:初めてが面白い。以前パリのアーティストと合作の話がありましたが、その時は断りました。今回はスムースにナチュラルに話が進みました。この合作では矢柳さんと私はお互いに遊んでいます。アートには理解が大切で、矢柳さんと東京画廊の田畑さんと私が三位一体となってできたものです。

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合作ではどのようなこと考えながらデザインをしたのですか?

コシノ:一つづつ作ることから始めていきました。可能性があって色々ものが出来ます。まだ始まったばかり。これからです。

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あなたの作品の多くには人体が登場するのですが、自分の作品が人に着られることについてどう思われますか?

矢柳:素晴らしいことです!私の作品に「愛の動物誌」というシリーズがあります。動物と人間が共存していく世界を表現しています。愛情に満ちたデザインのコスチューム、コシノさんとの共同制作でそういうものができるとわくわくしました。

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北京での展示についてはどう思われますか?

矢柳:北京は世界から注目されています。そういう場に、世界中から人がやって来ます。そこに絵が展示されファッションもある。そういう場があることを素晴らしいと感じています。

コシノ:故郷の様に思っています。デザインの仕事は国境を取り去る仕事です。日本のルーツは中国にあります。以前は中国に関する情報は多くありませんでした。そのため始めてパリコレに出たときに、私は私の中の中国をデザインしました。中国と日本は切っても切れない関係です。敵ではなくファミリーになっていくことが必要です。

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様々なことがボーダレスとなりつつある現在、デザインとアートの違いについての議論が多くなされる中、両氏の越えたものは何だったのだろうかと考える。それぞれの分野で既に地位を確立している二人が、まるで駆け出しの若手デザイナーと青年アーティストの様に恐れず新しいことに挑戦すること、自分自身の今までの領域から更に新しい場所へ飛び出して行った。これこそが彼らの成しとげた「越境」ではないだろうか。

JUNKO KOSHINO + GO YAYANAGI「越境 / Genre Crossing」
会期:2010年8月8日〜9月9日
開廊時間:10:00〜18:00 (月曜休廊)
会場:東京画廊+BTAP(北京)
住所:北京市朝陽区酒仙橋4号 798芸術区内
TEL:+86 10 8457 3245
http://www.tokyo-gallery.com/btap/

コシノジュンコ
大阪出身の日本を代表するファッションデザイナーの一人。1978年にパリコレに初めて参加。中国での活動も精力的に行っている。中国での活動で初めてとなるファッションショーは1985年の北京であった。それから25年後の彼女の中国交流25周年を記念して、彼女の仕事でもプライベートでもパートナーのアーティスト鈴木弘之氏の展示”東京 Construction” + JK Memorial Photographが同東京画廊にて行われた。

矢柳剛
北海道生まれのアーティスト。1957〜59年ブラジルのサンパウロに住む。その後フランス、パリにて版画を学ぶ。1966年のクラコウ国際版画ビエンナーレを始めとして世界各地で発表。矢柳の作品は南米の明るい色彩と日本の浮世絵がミックスされ独特な雰囲気を漂わせている。

Text: Hiromi Nomoto
Photos: Judy Zhou(写真提供:東京画廊+BTAP)

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