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ポリクセニ・パパペトルー

PEOPLEText: Mariko Takei

ビトウィーン・ワールズの作品の中で、動物のヘッドマスクを使用する(顔を隠す)というアイディアはどのように思いついたのですか?

2008年に東京へ行ったときに、私たち家族は上野に行ったのですが、娘がおもちゃ屋の外にぶら下がってる馬の頭のマスクを見つけたのです。それで、私の作品で使える道具になると言って、買うように勧められたのです。マスクを買うのはどうかと思ったのだけど、勧められるままに買うことにしました。娘と彼女の友人が馬のマスクを被った写真を撮ったのですが、それがかなり謎めいたものに映り、このアイディアをもっと深くまで探ってみることにしたのです。それから、いろんな種類の動物のヘッドマスクや、この動物達が生きていたら着るだろう服を探すようになりました。

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© Polixeni Papapetrou “The Caretaker” (Between Worlds) 2009

動物マスクは、子供達が大人や人間から、また動物から区別される媒介として存在できるようにする不思議な役目を果たしています。マスクが、着用している者のアイデンティティを隠しているというのが好きで、また、アイデンティティが変換され広がりが生まれるのも面白いです。なので、マスクは、馴染みのあるものや馴染みのないものとして、着用している者を隠したり、認めたりする効果があるのです。

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© Polixeni Papapetrou “The Provider” (Between Worlds) 2009

マスクによって引き起こされたアイデンティティの変換が、「リアル」から「空想」への変化をつくり出します。身体と写真の双方ともが、マスクによって変換され、調整されます。写真からマスクは取り除けないので、着用者の新しいアイデンティティが整えられます。私たちはすぐに被写体が子供と認識しますが、彼らは不気味にも動物としてあらわれる。幻想的に混成され、子供のアイデンティティは失われ、マスクという条件のもと借りた圧倒的なアイデンティティを身につけるのです。

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© Polixeni Papapetrou “The Watcher” (Between Worlds) 2009

マスクを使うのは好きですね。というのも、マスクは、仮装、演劇、芝居など、当初から私が作品でアプローチしているテーマにピッタリなので。ドラッグクイーンやボディビルダーなど初期の作品を見たら、私が当時から仮装が男性から女性へのアイデンティティの変換するマスクの役割をどう果たしているか、ボディビルダーの鍛えた筋肉が、その筋肉の下にある身体を覆うマスクの役目をどう果たしているかを、自問していることが分かると思います。

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