
ミシュランの星を持つスウェーデンのベストレストラン。
わずか2年の間にビョルン・フランセーンはスカンジナビア料理界の中で世界的な名声を得た。2009年のさまざまな輝かしい賞に加えて、ミシュランの星を勝ち取った彼のレストラン、フランセーン/リンデベリは、大きな期待を一身に集めるレストランであると同時に、ストックホルムにおける本当に特別なスポットのひとつだ。
ビョルンが最高のもてなしを用意する店は、ひっそりとくつろいだ古式豊かな街、ガムラスタンにある。テーブルは6席のみ、スタッフの数はゲストとほぼ同数だ。オープンキッチンになっており、くだけた雰囲気の中でビョルン達の料理風景をすぐ目の前に見ることができる。反対側の大窓から望む魅力的で文学的なガムラスタンの町並みと完璧な融合を見せていることも付け加えたい。霧に包まれたストックホルムの夜景とあいまってスタイリッシュな空間を創り出しているのだ。
レストランは通りを挟んだ向かい側にベーカリー、リンデベリも設けており、夜にはカクテル・バーとして営業している。サワー・ブレッドにスモークバター、そしてアニスという組み合わせはメニューのほんの一部にすぎないが,何ものにも比較出来ないほど素晴らしい。
フランセーン/リンデベリにはメニューというものが存在しない。「カルト・ブランシュ」と呼ばれ、週毎に吟味される新鮮な食材によって変化する6〜8種類の料理の中から選ぶ事ができるのだ。食事を引き立てる飲み物の存在も重要だ。ひと味違ったワインセレクションと至福の時間、さらにチーズと共にシードルも楽しむことができる。
始めてビョルン・フランセーンと顔を合わせた時、彼が自分と同世代である事に軽い衝撃を受けたことを認めなくてはならない。私達は彼の料理について,彼自身について、そしてこのジェットコースターのように刺激的なフランセーン/リンデベリの秘密について語り明かした。
![]()
北欧の料理学校について教えてください。
スウェーデンの料理学校では、生徒達はさまざまな科目をとらなければなりません。実践的な勉強は決して多くはありません。一般的に3年間通い、その後レストランで働くという選択があります。人生で迷ったら、まずは何をするか決めるのが先でしょう。人生の75%は学びの日々ですね。
海外経験や留学などしたことはありますか?
はい。ロンドンに5年、パリには1年滞在しました。
![]()
この2年間の成果について教えてください。
2008年2月にレストランをオープンしました。当初の目標であったミシュランの星の獲得を2009年に達成し、一年目にはスウェーデンのベストレストランとしてスウェーディッシュ・ホワイト・ガイドに紹介されました。他にも高い評価をいただき、火がつきましたね。アメリカン・ワイン・アンド・フードでは2009年の最注目レストランに選ばれましたし、コンデナストのトラベラーでは今年の5月におすすめの新レストランとして紹介されました。
決して多くはありませんが、海外からのお客様もいらっしゃいますよ。
開店当初のお話を聞かせてください。
レストランをオープンしてから人々の話題に上るまでに6ヶ月かかりましたね。
クリエイティブな事に意識を集中していて、フードブログもオープンしました。分子料理学などが私達の間で話題になっていましたね。(スペインにあるEl Bulleにも滞在しました)いろいろな事を試す時間はまだあります。違ったものではなく、より良いものをつくり出すのです。
![]()
フランセーンとリンデベリの二人がクリエイティブ・ディレクションを担当しているのですか?
ダニエル・リンデベリは向かいのベーカリーを担当しています。
レストランはスカンジナビア料理店でありながら、海外からの影響も受けていますね。
このレストランにはメニューがありません。ホワイト・メニュー、または、「カルト・ブランシュ」と呼ばれており、シーズン毎に食材のリストを用意して、その中から毎日最高の食材をキッチン・スタッフが選び出します。6〜8種類のコースから選ぶことができます。
カトリネホルム(ストックホルムから1時間の場所)にはレストランのために野菜を栽培してくれるエコロジカル・ガーデンがあり、そこで得られる食材を使って調理します。赤みの肉は使わず、かわりに野菜をたくさん使います。自然の恵み豊かな料理作りを心がけてます。
![]()
日々の仕事の中で最も重要な要素は何ですか?
最良の食材を手に入れる事ですね。例えば海ザリガニは通常ヨーテボリから仕入れるのですが、輸送に1日かかるため火曜日には手に入りません。ですから火曜日に来店してくださるお客様が海ザリガニを希望されても、冷蔵しておく以外にご提供する方法がないのです。メニューがなければこのような問題は起こりません。その日の最高の食材を使って料理する事ができるのです。
レストランの雰囲気をどのように演出したいと考えていますか?
リラックスした雰囲気と、素朴なエレガントさですね。木材と石を使って洗練された空間を演出するのが好きです。
![]()
レストランのおすすめメニューを教えてください。
チーズ・バーガー、ツール・ド・フランス、フレンチ・トースト、エスカロップのパンプディング添え、そしてオー・ド・トリュフです。
![]()
ツール・ド・フランス:フランスの国土をかたどったプレートに、ツールドフランスのレースのチェックポイント6箇所の特産チーズを盛り付け、スウェーデンの有名俳優ステラン・スカルスゲールドがそれらのチーズについて語った音声入りiPodがついてきます。クレイジーでしょ!
![]()
チーズ・バーガー:フランスのマカロンにインスパイアされた、ちいさくて、かわいらしいデザートです。
オー・ド・トリュフ:ちいさな香水吹きの中に入ったトリュフのエキスです。シャネルより上等です!
新しいワイン生産者を受け入れたいですか?
最良のワインはフランス産のものです。フランスのワインが私達の基本です。しかし、金額に見合うものであれば、他のオプションもあると思います。
家族や近しい人のために料理するのは好きですか?それともその反対ですか?
その反対ですね。休みの時はあまり料理したくはありません。
普段は午後までには子供たちを迎えにいってお昼を用意しなくてはならないので、店と自宅の両方で料理するはめになるのですが,面倒くさい時にはレストランの残りを持って帰ったりもしますよ。
フランセーン/リンデベリは新しい感覚のつまった宇宙船だ。一度足を踏み入れたら最後、もう後には戻れない。6つの手作りボンボンと最後に出された“リンゴのコンポート ユーカリのスモーク仕立て”がとても印象的だった。
Restaurant Frantzén/Lindeberg
住所: Lilla Nygatan 21, 111 28 Stockholm
営業時間: 18:00〜25:00
定休日: 日・月曜日
TEL: +46 (0)8 20 85 80(要予約12:00〜18:00)
info@frantzen-lindeberg.com
http://www.frantzen-lindeberg.com
Text: Victor Moreno
Photos: © Stefan van der Kwast Gissberg
Translation: Kazuyuki Yoshimura