欧州文化首都リンツ 09

HAPPENINGText: Daniel Kalt

2009年、リンツはヨーロッパの文化の首都となる。

オーストリア北部の州都であり、この国三番目の都市であるリンツから頻繁に連想されるモットーは「イン・リンツ・ビギンツ」、すなわち「リンツは全てのものの始まり」という意味の言葉である。(あまり魅力的でないその背景にここで詳しく触れるのはやめておこう。この言葉はそれまで広まっていた「イン・リンツ・スティンクツ(リンツは臭い)」という句に対抗したものなのである。この工業都市で破滅的に進行していたスモッグの被害によって生まれたこの言葉は、意欲的な大気改善策によって今では過去のものとなった。)
「リンツは全ての始まり」とは、いささか野心的すぎる物の見方かも知れないが、EU加盟国が1年ごとに持ち回る「欧州文化首都」という事業への参加によって、この州都がより世間に知られるようになり、真に文化的関心の高い人々の旅の目的地として認識されるようになることを期待したい。

事実、私がこの「欧州文化首都リンツ2009」の広報事務局の文化ジャーナリストとなってからこれまで、街で企画される劇場プログラム、音楽祭、展示、特別活動など膨大な数の情報を受けてきた。あまたのイベントが年間を通して行われ、このリンツ09を要約したレビューを書くことなど不可能ではと真剣に悩まなければならない程である。しかし今回はこれらの情報に目を通し、ウィーンから1時間で行くことができるリンツを訪れ、ぜひお勧めしたいものをいくつか選んだ。

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© VS 43/Renate Gratzl, Gerda Kocher

パブリックアートを専門のひとつとする私にとって嬉しいのは、他の多くの欧州文化首都がこの分野をあまり深く掘り下げないのに対し、リンツ09では公共スペースに多くのアート作品が置かれていることである。月変わりで街のあらゆる場所に焦点を当て「今月の文化首都地域」というタイトルのもと、それぞれの地域の人々が心を込めて制作した美しく気取りのないアート作品を観光客や市民に楽しませている。

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Bellevue, The Yellow House. © fattinger, orso, rieper

7月に行われた「Zsammsitzn(一緒に座る)」というプロジェクトでは、あるマンションの中庭で、住民や希望者を対象にして社会の持つ力の活性化が試みられた。この多角的な地域プロジェクトの他にもこうした試みは数多く行われ、ある仮設住宅は人工的な光景の公園に様変わりした。この作品「黄色い家、ベルビュー」は7月から9月にかけて人気スポットとなっており、ここで文化的な会合や、料理イベント、即興的なトークショーなど様々なイベントも開催された。

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© Kunstraum Goethestrasse

同じく興味深いのは、「尊敬の都市」と題したイベント/展示シリーズを2007年から行っている美術館「クンストラウム・ゲーテシュトラーセ」の技術に裏付けられたプロジェクトである。病気のウサギ(ダー・クランケ・ハーゼ)が、慣習的なルールや社会規範を脱し、個人を排他するテーマを投げかける。ウサギのお面をかぶった人々が街の至る所に出現し(お面は「クンストラウム・ゲーテシュトラーセ」や、フォルクスガルテン庭園の中にある仮設ツリーハウスで借りることができる)、文化首都リンツのための大変面白い企画となっている。(この様子はプロジェクトブログで見ることができる。)

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