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グリーンなデザインで一石四鳥!

THINGSText: Yoshihiro Kanematsu

こんにちは! グリーンズのYOSHといいます。グリーンズは、日本と世界のエコスゴイ未来ニュースを発信しているウェブメディアです。今回からSHIFTで毎月コラムを担当することになりました。今後ともどうぞ、よろしくお願いします!

早速ですが、みなさんは “グリーンなデザイン” と聞いてどんなイメージを持ちますか? 植物をうまく活かした “自然を感じる” デザイン。あるいはゴミをなるべく出さないといった “環境に優しい” デザイン。いろんな捉え方がありますし、もちろん正解があるわけではありません。

それをグリーンズ的に言うとこうなります。“グリーンなデザイン” =「一石四鳥」のデザイン。一石二鳥にとどまらない、すこぶるレバレッジの効いた効果をあげられるのが、“グリーンデザイン” の本質だと考えています。

では具体的に一石四鳥とは何でしょう? 一つグリーンズで紹介した記事の中から例を挙げてみます。

子どもたちの遊ぶ力が原動力 – プレイ・ポンプ・インターナショナルの素敵なしくみ

グリーン・デザイン

これは、アメリカ在住のブロガー・ラナさんが書いてくれた記事です。アフリカ南部の農村地域では水道設備が整っていないため不衛生な川の水を飲んで病気になる人が多く、また水源から水を運ぶのに毎日数時間かかるため子どもたちが学校へ通えないことが大きな社会問題となっています。その解決のためにデザインされたのが、「ポンプと一体になっているメリーゴーランドのような遊具を回転させることで、水をくみ上げることができる」という「プレイ・ポンプ」です。

記事にはプレイ・ポンプを設置するメリットが以下のようにまとめられています。

グリーン・デザイン

— 水がきれいなため病気になる人が減る
— 水運びに時間をかけずに済むため、女の子も労働から解放され男の子と同じ時間学校に通える
— 比較的低コスト(75万円程度)で2500人規模のコミュニティーに水を提供できる
— 水をためるタンクにはエイズ防止のメッセージが掲げられ、子どもたちにとって教育になる
— ポンプを設置・維持するのは訓練を受けた地元住民。地元の雇用機会が増える
— コミュニティーの中心や学校の近くに設置されるので、学校帰りの子どもが遊ぶ機会が多い。そして何よりも子どもたちが楽しそうだ!

そもそもの目的は、「キレイな水を確保したい!」という思いだったかもしれません。そして気づけば、四鳥どころか一石六鳥、みんながウィンウィンで笑顔まであふれる結果となりました。これがまさにグリーンなデザインの真髄ですよね。

グリーン・デザイン

他にも、「破棄物で作った未来の家、アースシップ」は、「廃棄物が材料になる!」「土地の気候に根付いたサステナブルな生活を体験できる」「(結果的に)冷暖房のいらない自然の空調!」などなど様々なメリットが挙げられますし、ポンプと同じようなモデルである「遊びながら発電できるシーソーパワー」も、「10分遊ぶだけで、学校を建設するための電力を供給できる!」「地元のゴミを有効活用する!」「何より新しい遊び場ができた!!!」と、ちょっとしたアイディアから好循環のループが生まれています。

グリーン・デザイン

このような発想は、おそらくデザイナーの得意分野です。ユーザーを観察し、仮説を組み立てながらプロトタイプ化していくデザイン的発想によって、どのステークホルダーにおいても矛盾のない設計ができるはず。そうやって組み立てられた “環境に優しい” デザインは、デザインを使うユーザーとしても心地よいし、また相乗効果も自然と生まれていくでしょう。(逆に少しでも矛盾を抱えるのなら、偽善的な “グリーンウォッシュ” にすぎません。)

グリーンムーヴメントの本質は、矛盾のない社会へ向かう態度にこそあります。それは環境や貧困といった社会問題の解決を目指すことであり、その手段として、一石四鳥のグリーンデザインが必要とされているのです。

Text: Yoshihiro Kanematsu

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鈴木将弘
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