カワニシタカヒ展「エベレスツ」

HAPPENINGText: Eric Choo

2007年6月9日土曜日、SHIFTプロデュースのギャラリーカフェSOSOにて行なわれた展覧会「EVERESTS」のオープニングパーティに参加する機会を得た。前日の夜にこの展覧会のアーティスト、カワニシタカヒに出会ったが、とても親しみやすく、格段に面白い人であることはすでに感じていた。

その夜は、午後7時からのオープニングパーティでスタート。ゆっくりではあるが確実に、カフェに人が集まりはじめる。店内は既に作品が展示されており、音の設備も整っていた。あとは、もっと沢山の人、そしてカワニシ本人の登場を待つのみとなった。

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展覧会は、SOSOに巡らされた展示作品と共に良い反響を得ていた。様々なスタイル、媒体によって表現されている作品は、とても幅広く、確立した雰囲気を醸し出している。フレームから飛び出したり、鮮やかなもの、表情豊かなもの、また、アーティストのユーモアの側面を表した全く違うテイストの作品まで様々だ。特に僕の目を引いたのが、楽譜と共に構成された作品。焼かれたエッヂの表現に、上から楽譜が貼られたように見えるのだが、どうやら一枚に表現されている。大きさも雰囲気も様々なペインティング作品に、それぞれカワニシの個が見える。

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展示品と同様、パーティも盛り上がり、その夜のハイライトに向かった。カワニシによるライブペインティングだ。これまでになくストイックに、おそらく200円からそこらで購入したと思われる「Satori Gym」のTシャツを着て、カワニシが会場に入ってきた。彼は「Live Painting」「Start」と描くと、突然に口の中に含んでいた赤い液体を吹き出した。さらに突然に予想に反す出来事に、観客は笑い出す。カワニシがドラえもんなどのキャラクターの絵を描きはじめたのだった。ライブペインティング自体を見ることが初めてだった上に、このカワニシのユニークさと楽しい性格とあっては、これはとても面白いことになるだろうと僕は思った。

複数の媒体、絵の具、パステル、ボールペンのインクなどを使い、それはまるで彼が続ける分だけ絵が進化するかのように、一つのものからスタートし、だんだんに形を変え、全く違うものに仕上がる。それは、かわいらしいキャラクターも恐ろしい顔に、それから女性にと姿を変えることのできる場所で、確実に見るに値するものであった。

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特に「変わり続ける絵」は、樹、3つの顔、どこか未知の都市の夜の地平線の抽象的なイメージ、そして作家も何であるかまだ知らないものなどの形になった。次に彼はフレームを取り出し、誰もが最終形だと思った作品をフレーミングしていくのだが、カワニシは満足いかなげにそれらを床に落とす。紙を拾い上げ、また白で覆いつくしてしまった。多くの者が目の前で起こっていることに畏怖しているように見えたが、彼は自分のペースで絵を変え続ける。それはまるで彼の心が考えていることや、アーティストの目を通して見るということがどういうことかが見えるかのようだった。

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