2027

THINGSText: Shinichi Ishikawa

4860202155.01._AA240_SCLZZZZZZZ_V42280453_.jpg「ボヤボヤしてたら、すぐやってくる。2027年のお話。」

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本書籍は、ちょっと珍しい「アート文芸」ともいえる本。

「文芸」って意味は? 文学とは違うの? Wikipediaで調べてみると「言語を媒介とした芸術の総称」ということ。文学と違いは「文芸」は文字表現が中心にあれば、それ以外の表現要素があってもオッケーということらしい。
国内のアート、デザイン関係の「作品」といえるオリジナル書籍は、グラフィックな要素が全面に出たものが多く感じられる。文字があっても、それはちょっしたタイトル、コピーどまりなサブの役割。

ところが、本書籍はテキストが中心。「20年後の未来」という舞台設定。紙メディアの禁止された世界で、冴えないバイト生活をしている若者が友人とこっそり印刷物を作るという物語を主軸に、ほか断片的に未来の話が挿入されている。ポップに、でも同時に少し寂しげな雰囲気があり、この寂しげな部分は、テクノロジーの発達が必ずしも幸福とはリンクしないかも。でも、それはそれでしょうがないよね、という感じの現代にもつながる雰囲気がリアル。

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未来についての「証拠」のように挿し絵やデザインが物語にからんでいく。例えば、主人公の会話に出てくる「レシート」が現物サイズで、ページに挟み込む感じに登場したりするのは、ちよっとしたサプライズだし、視覚的にもおもしろい。
もし、この本が文字だけだったら随分印象も変わったことだろう。そこを考えると、テキストとグラフィックが補完し合う関係性を持った、こうしたアートな「文芸本」というのは、これから可能性のある表現だと思う。後半のコラム執筆陣も豪華。お読み逃しなく。

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「2027」ボヤボヤしてたらすぐやってくる。2027年のお話

編集:古屋蔵人 物語:小田島等 草画:黒川知希
アートワーク:稲葉英樹、草野剛ほか全8名
コラム:宇川直宏、森本晃司、乙一、宇野雄幸、荏開津広、仲俣暁生、多根清史、田尻智、ロビン西、PEECH BOY、ECD、近代ナリコ、掟ポルシェ、石丸元章、吉川功真、前田晃伸、定金伸治、三田格、磯部涼、河馬透、井口弘史、佐々木景、根本敬、植地毅、海猫沢めろん、湯浅学
単行本(ソフトカバー): 160ページ
出版社:ブルース・インターアクションズ
定価: 1,995円

Text: Shinichi Ishikawa

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