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ガンダム展「来たるべき未来のために」

HAPPENINGText: Shinichi Ishikawa

広めの空間に出た。広い壁面そばを全面に利用して、ニュータイプテクノロジー ラボ(フラナガン機関内)(カズヒコ・ハチヤ、タロウ・マエダ、ヒデ・アンドリュー、カンカンゼ・ソル・ベウンム)による「サイコ・コミュニケーター・システム」がある。これは、お客さんが参加できる体験空間。


ニュータイプテクノロジー ラボ(フラナガン機関内)「サイコ・コミュニケーター・システム」2005

ガンダムのラストで子供達が、主人公の帰路をテレパシー的な未知の能力を発揮したシーンからインスパイアされた作品。人間同士の遠隔的なコミニュケーションの可能性を追求している。ガンダム後半で描かれる、宇宙で育った「ニュータイプ」と呼ばれる新しい世代をテーマにしていると感じた。


安村崇「せめて惑星らしく」

再び壁面に目をむけると、写真作品、安村 崇「せめて惑星らしく」が並んでいる。地球の表面を「惑星」として意識して捉えた表現。ガンダムの世界では、地球で生まれ育った人間と、地球を知らずスペースコロニーで育った人間、という区別がある。人間はどこまでも差別ということを考えるのだろうか。


篠田太郎「Space Camp Site」2005

「Space Camp Site」(篠田太郎)の作品は、卵型に近い透明なビニールのバルーン中で、LEDの照明によって、植物を栽培。これは、ガンダムの世界の宇宙に浮かぶスペースコロニーに住む人類が、植物を宇宙に運ぶプロセスを作品にしたもの。中では本物の苔やシダが栽培されている。未来のテクノロジーを感じさせる。

ここでは全ての作品を紹介しきれないが、全22作品をたっぷり楽しむことができるだろう。

最後に、吉崎さんは、本展示のみどころを聞いてみる。『ガンダムをよく知っている人には、それぞれの作品にちりばめられた要素を感じ取ることができるし、ガンダムをあまり知らなくても、今回の展覧会のキーワードとなっている「戦争」「進化」「生命」という普遍的なテーマによって、純粋に現代アート展として見ても充分楽しめるクオリティーの高いものになっています』と語ってくれた。

僕もまったく同じように感じた。補則すると、ガンダムという、あえて言えば子供向けに作られた作品が、沢山の人の生き方や、写真、デザイン、書道、テクノロジーなどなどという無数の分野のクリエイターに影響を与え、その結果として、これほど大規模な展覧会が、可能になったことは素晴らしいことだと思う。アートの可能性を感じさせるものだ。本展は今世紀に開催された重要な日本の現代美術のイベントになるだろう。札幌芸術の森美術館では、9月24日まで開催。お見逃しなく。

GUNDAM —来たるべき未来のために—
会期:2006年8月6日(日)〜9月24日(日)※会期中無休
時間:9:45〜17:00(金曜日は20:00まで)※入館は閉館30分前まで
会場:札幌芸術の森
住所:札幌市南区芸術の森2丁目75
主催:札幌芸術の森美術館、財団法人札幌市芸術文化財団、HBC北海道放送、北海道新聞社
後援:札幌市、北海道教育委員会、札幌市教育委員会
特別協力:ガンダム展製作委員会
https://www.gundam-exhibition.jp

Text: Shinichi Ishikawa
Photos: Shinichi Ishikawa

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