アフタースクール・カフェ

PLACE


最初にそこへ行ったとき、私の友達はアイスチョコレートコーヒーかホワイトチョコレートコーヒーかで迷った。私たちの注文をとっている男の人は、彼にホワイトチョコにするよう言い、それからジュースの缶を振る真似をした。『冷たいコーヒーは振ったほうがおいしいんです』と彼は説明した。そして実際にそうしたのである。香港のどこで他に発見できるというのか。一生懸命に人の手でブレンドされたコーヒーを、ほっぺたが落ちるほどおいしいアボガドベーグルを、自家製のアップルクランブルを、毎日朝食の時間から営業している店を、2004年もののストーンヘイブン・シラーズを、香港で最もスタイリッシュなトイレを、天板が開く本格的な木製のスクールデスクを、メニューが印刷された、学校で返却されるブルー・ブックを。

私たちは香港の銅羅湾地区にある隠れた宝石、アフタースクール・カフェからとても離れてなどいられない。数十人の誠実な友人とお客もまた、そうである。アフタースクール・カフェは100パーセントのカフェではないし、100パーセントの仕事場でもないため、そのような愛好的な層を引き寄せるのである。アフタースクール・カフェの設立者であり、先見の明があったポキット・プーンは、あの晩にコーヒーを落とした男であり、そして深夜に来る人たちはどんな様子なのか、一部、一人で来る人はどんな風に悲しげなのか、そんな風に来る人たちがどのようにして彼をハッピーにさせるのか、を語る。

ポキットは、それをどのように名づけたか説明してくれた。『人が学校から卒業するとき、また仕事の世界に入るときというのは最も生き生きした夢であり、最も美しい瞬間なのです。自分の周囲を見渡すと、どれだけたくさんの人がこの瞬間を失ってきたかが見えます。私は友達に、それぞれの生活の中でこの活力を持ち続けていてほしいのです』。彼は慎重にメディアへの露出を避け、外の看板さえしない。というのも訪ねてくれる人の中である種のつながりを築きたいためである。

アフタースクール・カフェはポキットとアルバイトたちにより経営されている。『私は直感と実用性のバランスをとって経営をしています』と彼は言う。このカフェはまさしく、アートと実用の結合体であり、空間の極大化なのである。この小さな空間には座れる場所が広く取られていて、アンティークピアノがあり、バー・スペーズがついていて、プロ用のキッチンが備えつけられてあり、あの気品のあるトイレがあり、そしてポキットが日中仕事をする個人用のデザインスタジオがある。このスタジオはカフェより大きく、さらに実用的である。最近、アフタースクール・カフェはART IT誌の香港で唯一の設置店となった。彼はアジアにおける新しいアートに関するこの日本の雑誌のコンセプトに敬意を払っていて、彼の店のお客さんが近くの都市で何が起きているのかを読んで知り、プラスになれば、と思っている。『このカフェは共有する場所なのです。』

デザインのトレンドを調べている一方、彼は飲食店経営について学んでいる。香港ではカフェを開くことが簡単であるとはいうものの、維持するのは難しい。もの作りに伴うたくさんの困難は、その日の最初のお客さんが転がりこんで来るときまでにはきれいで洗練されたものになっている。ポキットは、そのことを実用的なコンセプトと目標、アート関連のコンセプトと目標の間での恒常的なバランスとして捉えている。一度に両方するのは難しいが、一方のためにもう一方を妥協するのはより一層難しい。彼は最初、実用的な計画を滑らかに行うことを考え、それから可能であろう現実の作業により焦点を合わせる。

このアートと実用性の間のバランスの大部分は、ポキットが香港のアーティストをどのように眺めるかに反映されている。こちらのアーティストはお金になる仕事をしなければならないため、アートまでカバーするのは難しいのである。『ここではたくさんの人がハートを持っています。しかし彼らは時間がないだけなのです』と彼は言う。彼は、このことによって、多くのアーティストがより協力的な環境がある他の都市へ移ってしまったと指摘している。『私は、人々がやりたいことはやらなければならない。どこにいようと。と信じています』と彼は加えた。

ポキットと彼の友達はこの空間に自身の哲学を反映させてきた。テーブルのうち一つはビルからアフタースクール・カフェへとつながるドアであり、同時に壁を飾る古い門である。このカフェにある全てのものが、発見されたものかサルベージされたものである。『毎年、銅羅湾における変化は恐ろしく早いのです』と彼は説明する。『この二年間で、下に入っている全ての店が変わりました。全ては投げ捨てられます。しかし私は、一部のものは通りや埋め立て地に置き去りにされるには惜しいと思います。だからカフェにそれらを持って帰るのです。』

インテリアデザインに関するバックグラウンドとフォトジャーナリストになるという夢とともに、ポキットは世界を変えたいのである。彼は言う。『ハートの根っこには、機能性が最も美しいというのがあります。それで、それだけです。』彼は、彼の空間にあるものがよく構成されていること、そして長くもつことを期待する。それは香港における使い捨て製品の急速な消費に対する嘆きである。『私はアーティストではありません。ただ本物が好きなのです』と彼は言う。

彼が取り組んでいる一つ確かなことはアフタースクール・カフェのアルバム作りである。彼はそれがビジネスに関して食事をしている人、ビジネスに専念している人のバックグラウンドであってほしくはない。『我々はものの内実を尊重しなければなりません。』アフタースクール・カフェは人々に感銘を与えるものをいかに作り出すか、に関して出来たものであるため、彼は友達に生活しているうちで最も印象的な音楽を選ぶよう頼んだ。そして、彼らはそのアルバムのために、アフタースクールカフェでこれらの曲を演奏し、録音するだろう。一部の人は、友達から寄付されたアンティークピアノを使用することさえあるかもしれない。『どれほどピアノの音が狂っていようと、私たちはそれが本当だから使うのです。』彼はつけ加えた。

彼はこう締めくくる。『私は人々が何を考えているのか知りたい。そしてパワー、エネルギー、アイデアを共有してくれる人をもっと引き合わせたい。この空間を維持するのは簡単ではない、そしていつのかなくなってしまうでしょう。しかしこの空間のエネルギーがなくなることはありません。私たちは旅の道中にある人々にそれを広めなければなりません。みんなそれが必要なのです。』

AFTERSCHOOL CAFE
住所:2/F,17 Yun Ping Rd, Causeway Bay, Hong Kong
TEL:+852-2983-2130

Text and photos: Kat Lo
Translation: Yuhei Kikuchi

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