アンチドート

HAPPENING


もう随分長い間、上海は、喧しくて過剰広告、一般的で安っぽい数々のパーティに苦しめられてきた。木曜の夜の「ペガサス」で行われる最大級のヒップホップナイトから、「パーク97」にある若い女性であふれたバーまで、上海の夜のシーンは、馬鹿馬鹿しいほどつまらなかった。幸運な事に、ついにその療法を見つけた。

そんな上海シーンの救世主となったのは、邪悪なアルコール提供や不当なサービス料金を除去しようと決めた地元の人々、そして外国人である。彼らは「アンチドート(解毒剤)」という、ぴったりの名のパーティを毎月開催し始め、メインストリームとなっていたどうしようもない偽物に対して、効果的な武器を揃えた。その内容とは、サービス料無料、1USドル強のビール、そして選び抜かれたミュージックポリシーだ。

「アンチドート」は、8月のさわやかな木曜の夜、コニャック一気飲みをする者やハンドバックをさげた群衆のいるセンター街からは遠く離れた、中山パークにあるグラフィティがあふれた場所「C’s Bar」でデビューした。理想的で、恰好の場所だ。

「C’s Bar」は地下にある。壊れた家具やビールの染みが付いた壁を隠すように、赤いライトが灯っている。装飾は、一言でいうと奇妙だ。新しくてぴかぴかしたカールスバーグの広告が、ブランコにのったピエロのおもちゃやプラスチックのバナナの房のコレクションと共に、スペースを奪い合っている。DJブースは、アメリカ軍募集のポスターと9インチのウルトラマンのフィギュアで飾られている。スーザン・ソンタグはそれを低俗だというかもしれないが、ハンター S.トンプソンならそのチャーミングさがわかるだろう。

「アンチドート」のミュージックも、同様に奇妙である。その夜は、サンフランシスコの「オゾン」(『僕は1987年からDJしてます』とファンに向かってよく言う彼)からのトラック「マイ・ブラッディ・バレンティン」で始まり、地元のオーディオ技術者とグラフィックデザイナー「B6」によるIDMとカオス・パッドのエフェクトに移っていった。その間には、思いつく限り全てのジャンルが出てきてもいた。

スマートでアーティスティックな装いの中国人や酔った外国人など、みんながその全ての瞬間を気に入った。早い時間からやってきていた彼らは、最後までその安いビールを飲み続ける。結局「アンチドート」の初回には、約250人の人が集まり、それが木曜の夜に「C’s Bar」で行われた事を考えると素晴らしい出来だった。

上海のパーティシーンに「アンチドート」が登場したことは、この街の夜行的な神経系にタイムリーなショックを与える。良いミュージック、少し臭うトイレに、したたる汗。そんな瞬間に、誰が良いテーブルサービスやバーに出入りする女性達など必要とするだろうか?


The Antidote

日時:2005年8月25日(毎月)
会場:C’s Bar
住所:685 Dingxi Lu, Shanghai
http://www.smartshanghai.com

Text and Photos: Wong Joon Ian
Translation: Yurie Hatano

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