クンスラーハウス・ベタニエン

PLACE


クンスラーハウス・ベタニエン—つい最近、その名はベルリンッ子の間でちょっとした話題になった。ハウスプロジェクト・ヨーク59の住人が追い出された後の次の住まいとして、ベタニエンの別棟を占拠したのだ。ハウスプロジェクトとは一つの空き屋を大人数で占拠して住み続ける活動を指し、日本では“スクウォッティング”として紹介され知られている。

ちなみにベタニエンは、今でこそ世界各国から招待作家の集まる名前の知られたアーティスト.イン・レディデンスだが、その歴史を空き家の占拠から始めている。元は病院だった建物で、おおよそ30年前よりここをアーティスト・イン・レジデンススペースとして展開している。そのような理由からか、ヨーク59の住人との関係も大きな問題は生じていないという。

そのような情況のなか、2004-2005年度の招待作家、増山士郎の個展「Parky Party」が行われた。この作品は“Supposed Opening”として2002年に最初にニューヨークで発表された作品のベルリン版である。

会場に入ると、ある地点を境にそこにはいない歓談する客の喧噪に包まれる。目の前には整然とバーカウンターが並ぶ。しかしそれはごく普通のバーカウンターではない。座席が間仕切りで個々に切り分けられており、その表面を厚手のカーテンが覆う。観客はこの空間に入り、防音装置としてヘッドフォンを頭につけ、注文シートにオーダーを記入することを要請される。オーダーした飲み物は鎖でつながれたグラスに注がれ、観客の前に差し出される。観客はこの孤独な空間で酒を味わうという皮肉めいた情況に置かれるのだ。社交が目的で人が来ることが慣習化している展覧会のオープニングパーティを皮肉る、というコンテクストがこの作品の背景にある。

増山は観客を自然な形で作品に導入するため、細部に至るまでを徹底して作り込む。例えば、個々の席を外界から遮断するために取り付けられた厚手のカーテン。ベルリンでは、外の冷気を遮断する為に入り口に厚手のカーテンをかけるが、それをベルリン版の“酒場の入り口”として解釈し作品に取り込んだ形になっている。ちなみにこの作品が日本/ニューヨークで公開された際、カーテンの部分は“のれん”/“スウィングドア”になっており、彼のその土地に対するまなざしと工夫ぶりが伺える。

この他会場には「レキサンダープラッツ」に設置を交渉している、椅子の形をした体重計のプレゼンテーションが展示されていた。


増山士郎 個展「Parky Party」

会期:2005年6月30日〜7月17日
会場:Kunstlerhaus Bethanien
住所:Mariannenplatz 2, 10997 Berlin
http://www.shiromasuyama.net

Text and Photos: Yoshito Maeoka

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