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「(女性の身体に関する)トラブル」展

HAPPENINGText: Yoshito Maeoka

ベルリンの中心部から北東に位置する地区プレンツラウアーベルクに、シュタットバッド・オデルベルガーという建造物がある。ここは20世紀初頭に建築家ルートヴィヒ・ホフマンにより地区のプールとして建造され、旧東ドイツ末期近くまで使用されていた施設である。現在はプールとしての機能は果たしておらず、運営組合により保存事業が行われる一方で、その新古典主義調の意匠に着目した展覧会等が行われている。

去る5月28、29日、「(女性の身体に関する)トラブル展」と題する女性作家によるグループ展が開催された。この日は気温が30度を超え、ベルリンにしては珍しい蒸し暑さであったが、会場内は天然のクーラーが良く利き、インスタレーションにおあつらえ向きの別世界を演出していた。

会場は、旧更衣室にあたる2階部分と、大ホール/浴槽部分とその周辺の部屋が使われた。手始めに階段を上り2階部分に足を運ぶ。そこには小さく区切られたいくつかの部屋で、セリア・アミツィス、エヴァ・キーツマン、ベティー・セクシーショックら他数名のビデオ作品やインスタレーションを中心とした展示が行われていた。

次に大ホールにあたる50mプールには、イルカ・ベルントのインスタレーション、その周りの部屋では、ゴンカ・カラピナーのタブローやマイケ・クラインの写真が展示されていた。この中で最も印象に残ったのは、人体の写真をモチーフに針と糸でつなぎ合わせ新たな人体像を作り出す事をシリーズとしたアネグレット・ゾルタウのプロジェクションだった。タイル敷の壁面が作品と重なる事により、そこはプールの跡ではなく、とても恐ろしい実験施設の様にも思えて来た。

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