第52回 シドニー映画祭

HAPPENINGText: River Yin

その他の目玉作品は、見かけは理想的なアメリカ中流階級の生活を描いた、エドワード・サリエリによる「エンパイア」で、武器や潜水艦、戦車、ヘリコプターといった軍事機器の映像が頻繁に映し出される。この映画の結末は断片的であり、強固で快適で保証されたアメリカ支配による平和はとても脆いものへと変わる。

「Into Pieces」は、ロボを製作したギルハーメ・マーコンデスによる奇特な短編映画だ。この映画は、たとえあなたが答えを聞こうとしなくても、パズルの解答を教えてくれる男の考えを表現した純粋に楽しめるアニメーションである。特記すべきこととしては、主人公の顔面表現の巧妙な変化とパブロ・ベトによる絶妙なペース感覚と音響効果であろう。私がとくに好きだったのは、予想外の観客の拍手の挿入と物語の意味の真実性だ。

小山譲二監督による、「スイカの愛」はアジアで育った四角のスイカによる実話によってインスパイアされた話である。「欠点はあるが見る価値はある」と小山監督はこの完璧なアニメーションを表現する。不思議なことに、見た人は、植物を栽培し、完熟で真っ赤なスイカを食したくなること受け合いである。

The 52nd Sydney Film Festival
会期:2005年6月10日〜25日
会場:The State Theatre, Dendy Opera Quays, The Studio
info@sydneyfilmfestival.org
https://www.sydneyfilmfestival.org

Text: River Yin
Translation: Wakana Kawahito
Photos: River Yin

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