フセイン・チャラヤン回顧展

HAPPENINGText: Ania Markham

私はロンドン生まれで、今は国外に住んでいる。今回は現在オランダで催されているブリティッシュ・デザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞したフセイン・チャラヤンの功績を称える展覧会を紹介をしたいと思う。

私は、他国の人達が英国や英国人気質というものを説明することは、到底不可能であると思い続けてきた。幼い頃、夏をワルシャワで過ごした後に英国に戻ってくるという生活をしていた(私にはポーランドの血が半分流れている)。そして、私の故国をヨーロッパ圏内の他の国とは異なったものにしている要因は何なのだろうか、と思い悩んだものである。その結果はと言うと、それは道路標識であり、あらゆる湿気であり(どういうわけかこの湿気というものは色彩を豊かにする)、ロンドンなまりであり(とにかく好きなのである)、異なる文化の混合であり、お年寄りの方々(他の国のお年寄りとは常に違う感じがする)である。おそらくこれら二つの展覧会は、あなた達が英国に対して抱く印象を決定づけるための一助となるだろう。


Hussein Chalayan, “Kinship Journeys,” Autumn/Winter women’s wear collection, 2003. Photo: Chris Moore, Courtesy of Groninger Museum © Hussein Chalayan

アムステルダムからフローニンゲンまでは、ちょっとした小旅行になるだろうが、見に行く価値は充分にある。特に、名声の高いフローニンゲン美術館を訪れる場合は。この博物館で催されるフセイン・チャラヤンの初期10年の作品の回顧展は、偶然にも彼の初個展でもあり、英国人やキプリス人のファッションデザイナーのファッション、アート間の興味深い異種間交流に焦点を合わせている。

私は、その種のクロスオーバーをもっともらしく表現できているデザイナーはあまり多くないと思っているが、チャラヤンは多文化の人生背景を生かし、建築、哲学、人類学のような広い教養を駆使して、そのようなクロスオーバーを表現し続けてきた。その結実が彼の素晴らしい作品であり、それはしばしば衣装一式であったり、インスタレーションであったり、写真や映像作品の形をとるのである。


Hussein Chalayan, “Coffee-table skirt,” Autumn/Winter women’s wear collection, 2000-1. Photo: Courtesy of Groninger Museum © Hussein Chalayan

彼は1993年にセントラルセントマーティンズ大学を卒業し、異端の技術で作ったその革新的で普通は見られない布地を作った。 そして2004年4月には、とうとう彼自身のフラッグシップストアを東京にオープンさせ、世界中から喝采を浴びた。彼の名はますます知れ渡った。今回の展示会は9月4日までの開催である。というわけで、みなさんの、見ていない、なんて言い訳は通用しない。会期中に是非見てほしい。

Hussein Chalayan, 10 years’ work
会期:2005年4月10日〜9月4日
時間:10:00〜17:00(月曜日休館)
会場:Groninger Museum
住所:Museumeiland 1, 9711 ME Groningen
TEL:+31 (0)50 366 6555
https://www.groninger-museum.nl

Text: Ania Markham
Translation: Yuhei Kikuchi
Photos: Chris Moore, Courtesy of Groninger Museum © Hussein Chalayan

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