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ベルリン砂の彫刻フェスティバル 2004

HAPPENINGText: Kristy Kagari Sakai

どの彫刻もあまりに素晴らしいので、いったんそれらの砂の鮮度が落ち始めると、そのときは今までとは違った様相を持たざるを得ない。それでもいくつかは芸術作品として美しいものには変わりないのだが、気の毒なことに醜悪なモニュメントになってしまうものもある。


Anique Kuizeng “Moddervet”

さて、もっとも印象的だった作品は、静穏さと力強さを兼ね備えたピーター・ブッシュ・ヘンセン作「風」、圧倒的な職人芸が生んだパゥベル・ザダニャク作「シュルレアリスム・ファンタジー」、それから曲線が美しいアニック・クイゼン作「マッドファット」。また、個人的にお気に入りなのは、コミカルに顔が表現されているシモ・アブデサマド・バーラル作「ラクダ」といったところか。ところで賞の行方はというと、砂の彫刻賞をヘンセンが、アーティスト賞をクイゼンがそれぞれ受賞した。観客賞は、観客による投票が続行中だったため、後日発表されるそうだ。


Pavel Zadanyuk “Surrealistische Phantasie”

砂の彫刻は、70年代の終わりごろに出てきたとされていて、ほとんどの砂の彫刻家達(彼らの多くは舞台設計士や修復士、もしくは氷や雪を素材とする彫刻家だったりするのだが)は、本職に代わる娯楽として取り組んでいる。けれど、もしかしたらこの芸術は近い将来にもっと主流になるかもしれない。

すでにパゥベル・ザダニャクやこのフェスティバルのオーガナイザーであるマーチン・トゥリニアスなどは世界中からひっぱりだこ状態で、ちょうど日本でも「第1回砂の彫刻大会」が開催されている。このようなものに目を着け、それを面白おかしい集客力のあるイベントに仕立てあげるあたり、いかにもベルリンの常套手段といえるだろう。今後の進展を見守ってみようか。

Sandsation 2004
会期:2004年6月13日〜7月25日
会場:Zitty Park
https://www.sandsation.de

Text: Kristy Kagari Sakai
Photos: Kristy Kagari Sakai

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