ベルリン砂の彫刻フェスティバル 2004

HAPPENINGText: Kristy Kagari Sakai

現在建設中ではあるが、将来的にベルリンの中心駅になるレアター駅とチャンセリーとの間に、この夏ちょっとした熱帯を思わせる一角ができている。ここをデッキチェアーが並ぶビーチや遊び場そしてバーに変えるため、ドイツの海岸から3800トンにも及ぶ砂が運ばれた。さらに、ここは前回よりも規模が大きく国際的になった第2回ベルリン砂の彫刻フェスティバルの受け皿にもなっている。


Peter Busch Jensen “Wind”

“砂の彫刻” という魅力的なジャンルで活動する、インドやロシアやモロッコ、そしてヨーロッパの国々からきた10名の “彫刻家” たちは、3つの賞「砂の彫刻賞」、「アーティスト賞」、そして「観客賞」を競い合う。少なくとも4メートルはあると思われる興味深い造形を探りに、私は現地まで行ってきた。

Sバーンに乗ってレアター駅まで行き、そこから歩いて現地まで向かうと、荒涼とした建設地に堆積している大量のガラスとコンクリートにまず驚かされる。その風景のせいで、そこから会場へ入っていくときは、まったく異種の一連の感覚が呼び起こされ妙な気持ちになる。とにかく砂はある。それはちょうどつま先を入れてみたくなるような砂。雰囲気もある。少し曇ってはいるが、浮かれているとしか言いようのない人々はバーの周りに座り、夏の休日のひと時を過ごしている。これらを掻い潜った後ようやく彫刻に辿りつけるのだが、やはりそれも鬱蒼とした森の奥に隠れていて、いっそう怪しさを醸し出している。


Simo Abdessamad Baallal “Camels”

近づいてみると、彫刻は謎だらけだ。一体どのようにして砂と水だけで、こんなモニュメントができるのだろうか?彫刻家によると、砂と水のバランスに科学的な原理があるらしく、2つの物質を混ぜて手ごろな素材をつくると、それはまるでやわらかい石を彫るのと同じように、なんと歯ブラシやロリポップキャンディーの棒でも彫ることができるらしい。

私が現地にいたときの天候はとても不安定で、実際雨がとても激しく降ったりしたから、彫刻に影響があるのではないかと心配していたのだが、なんとアーティストたちは自らポンプで作品に水をかけていたので訳がわからなくなってしまった。彼らによると、実際その行為は砂を定着させるのに効果的だそうで、そうしたものは3ヶ月から半年は持つそうだ。

続きを読む ...

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE