ベルリン砂彫刻フェスティバル

HAPPENING


現在建設中ではあるが、将来的にベルリンの中心駅になるレアター駅とチャンセリーとの間に、この夏ちょっとした熱帯を思わせる一角ができている。ここをデッキチェアーが並ぶビーチや遊び場そしてバーに変えるため、ドイツの海岸から3800トンにも及ぶ砂が運ばれた。さらに、ここは前回よりも規模が大きく国際的になった「第2回ベルリン砂彫刻フェスティバル」の受け皿にもなっている。砂の彫刻という魅力的なジャンルで活動する、インドやロシアやモロッコ、そしてヨーロッパの国々からきた10名の“彫刻家”たちは、3つの賞—“砂の彫刻賞”、“アーティスト賞”、そして“観客賞”—を競い合う。少なくとも4メートルはあると思われる興味深い造形を探りに、私は現地まで行ってきた。

Sバーンに乗ってレアター駅まで行き、そこから歩いて現地まで向かうと、荒涼とした建設地に堆積している大量のガラスとコンクリートにまず驚かされる。その風景のせいで、そこから会場へ入っていくときは、まったく異種の一連の感覚が呼び起こされ妙な気持ちになる。とにかく砂はある。それはちょうどつま先を入れてみたくなるような砂。雰囲気もある。少し曇ってはいるが、浮かれているとしか言いようのない人々はバーの周りに座り、夏の休日のひと時を過ごしている。これらを掻い潜った後ようやく彫刻に辿りつけるのだが、やはりそれも鬱蒼とした森の奥に隠れていて、いっそう怪しさを醸し出している。

近づいてみると、彫刻は謎だらけだ。一体どのようにして砂と水だけで、こんなモニュメントができるのだろうか?彫刻家によると、砂と水のバランスに科学的な原理があるらしく、2つの物質を混ぜて手ごろな素材をつくると、それはまるでやわらかい石を彫るのと同じように、なんと歯ブラシやロリポップキャンディーの棒でも彫ることができるらしい。私が現地にいたときの天候はとても不安定で、実際雨がとても激しく降ったりしたから、彫刻に影響があるのではないかと心配していたのだが、なんとアーティストたちは自らポンプで作品に水をかけていたので訳がわからなくなってしまった。彼らによると、実際その行為は砂を定着させるのに効果的だそうで、そうしたものは3ヶ月から半年は持つそうだ。

どの彫刻もあまりにすばらしいので、いったんそれらの砂の鮮度が落ち始めると、そのときは今までとは違った様相を持たざるを得ない。それでもいくつかは芸術作品として美しいものには変わりないのだが、気の毒なことに醜悪なモニュメントになってしまうものもある。さて、もっとも印象的だった作品は、静穏さと力強さを兼ね備えた“WIND”(ピーター・ブッシュ・ヘンセン作)、圧倒的な職人芸が生んだ“SURREALISTISCHE PHANTASIE”(パゥベル・ザダニャク作)、それから曲線が美しい“MODDERVET”(アニック・クイゼン作)。また、個人的にお気に入りなのは、コミカルに顔が表現されているラクダ(シモ・アブデサマド・バーラル作)といったところか。ところで賞の行方はというと、砂の彫刻賞をヘンセンが、アーティスト賞をクイゼンがそれぞれ受賞した。観客賞は、観客による投票が続行中だったため、後日発表されるそうだ。

砂の彫刻は、70年代の終わりごろに出てきたとされていて、ほとんどの砂の彫刻家達—彼らの多くは舞台設計士や修復士、もしくは氷や雪を素材とする彫刻家だったりするのだが—は、本職に代わる娯楽として取り組んでいる。けれど、もしかしたらこの芸術は近い将来にもっと主流になるかもしれない。すでにパゥベル・ザダニャクやこのフェスティバルのオーガナイザーである、 マーチン・トゥリニアスなどは世界中からひっぱりだこ状態で、ちょうど日本でも「第1回砂の彫刻大会」が開催されている。このようなものに目を着け、それを面白おかしい集客力のあるイベントにしたてあげるあたり、いかにもベルリンの常套手段といえるだろう。今後の進展を見守ってみようか。

SANDSATION 2004
第2回ベルリン砂彫刻フェスティバル
会期:2004年6月13日〜7月25日
会場:Zitty Park between Lehrter Bahnhof and Chancellery
www.sandsation.de

Text and Photos: Kristy Kagari Sakai
Translation: Naoko Fukushi

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