BO130 & MICROBO

PEOPLE


『グラフィティを描くって事は危険やリスクを負ったり、もちろん警察や母親や友達にケンカをふっかけるようなものだ。いいか、そんなものは承知で、列車を襲撃してやるんだ。窓から乗り出してただ列車を見てるだけの奴になりたいのか?表に出て、絵を描いてみろ、周りから無法者呼ばわりされたって構うもんか。』
−Lee Quinones、Charlie Ahearn著「Wild Style」より


イタリアのヒップホップシーンは、近頃のストリート系ブランド洋服人気に乗ってさらに広がりをみせ、徐々に若者の間では盛り上がりつつあるが、英語という言葉の壁があるためにまだまだアメリカのラップには及ばない。こんな状況でも、グラフィティはこのヒップホップ人気を介し注目を浴びるようになってきた。

ひとたびミラノの街を歩けば、どれだけ街中にグラフィティが多いかに気付くだろう。至る所に描かれたグラフィティの多さとそのクリエイター達の勢いには目を見張るものがある。タグ(アーティストが本名を隠すためのグラフィティ用の名前)、スプレーで描いたもの、ステンシルやポスターがそこらに散らばり、どの通りも彼らに占領されてしまっているようで、橋を建設しようと思っても仕上がる前から彼らの格好のキャンバスとされてしまう。私が住んでいるミラノ市街の南側の地区も、あるクリエイターに目を付けられ、そこからずっと遠く離れた地区までがもうグラフィティだらけである。

その絵のスタイルも様々で、ポスターやステッカーを好む若い世代の若者や昔ながらのスタイルで描き続ける人など、幅広い年齢のクリエイター達が一同に集っている。ミラノにおけるグラフィティシーンの注目すべき点は、地元のクリエイターに並んで、イタリア国外に住む外国人クリエイター達の作品も多く見られることだ。ここでは、双方のコラボレーションによる斬新なスタイルの作品が見られる。

トップに登り詰めるためには、自分の名前をそこら中に書きなぐって街を占領するのではなく、周りの他のアーティストと認め合い、自分の作品をみんなに見てもらうために仲間を誘ってコラボレーションしたり最終的には街や通りを演出することだ、と BO130は話す。つまり、タグを使っての攻撃的なやり方ではなくて、もっとクリエイティブな方法でストリートをデザインしていこうというのである。

MICROBO はまた、グラフィティがメッセージ性を持った表現手段であるということから生まれる、それを見る人とのポジティブ、あるいはネガティブな関係を指摘した。ストリートはそもそも一般の人々が生活し、利用する公的な場なのだ。

最近、多くのアーティスト達が現代アートを意識したスタイルを取り入れているのも興味深い点である。ステンシルを使うことで技法に限界があったり、低予算で少ない数の色しか使えなかったりしても、その解決法や可能性を見い出そうとしている。
様々なステッカーや上塗りされたタグを用いて描かれたカジュアルなレイアウトを私有財産の標識に使ったりと、グラフィティデザインが実際に都市の景観にもどんどん組み込まれていくだろう。

デザイン産業に溢れる様々なアイデアや流行りのスタイルを取り入れたり、そのアイデアの幅はコミック本やおもちゃ会社などの文化にまで手を伸ばす。近年、現代アートにおけるキャラクターデザインの勢いはとどまることを知らず、多くのクリエイターがウェブサイトデザインを手掛け、グラフィティにイラストレーターやデザイナーが携わることもある。

ミラノに住み活動を続ける彼らは今、独創的かつ象徴的なスタイルを持った、非常に興味深い作品制作に乗り出している。私も彼らの過去の作品を長い間いろいろ見てきたが、今回のこのプロジェクトで今までに見たこともないような面白い作品が仕上がることは間違いないだろう。地元のグラフィックデザイナー達も、彼らの今後の活動は是非チェックしてほしい。

彼らの凄いところは、盛んにコラボレーションに取り組み、グラフィティを通して自分達の考えや意志を伝えようとするそのケタ外れの積極性にある。かつては狂気的な変わり者として見られていた彼らが今では共同制作、スタイルの融合、以前と同じスタンスを保ちつつも、2つのスタイルが共存していることを前面に押し出した複雑な作品作りに前向きなのである。個人的な縄張り争いではなく、文化的に発展していこうというのである。

彼らの作品はヒップホップの枠を超え、よりサイケデリックにそのスケールを広げている。それはジェラルド・スカーフが描いたような、残酷で服従せざるを得ない未来へ向けたブラックユーモアのある描写や、チャールズ・バーンの持つ奇妙な世界観に似通ったところもある。

デザインそのものがまだ強い存在を持っていない国で、才能あるクリエイター達が、これから退屈になりそうなクリエイティブ界を塗り替えていくであろうこれからが楽しみだ。

Text and Photos: Roberto Bagatti from Bacteria
Translation: Ryoko Ogino

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