パーマネント・フード

THINGSText: Roberto Bagatti

パーマネント・フードは、イタリアのアーティストであるマウリツィオ・カテランとマッキャン・エリクソン・ミラノのアートディレクターであるパオラ・マンフリンの編集による、6ヶ月毎に発行される雑誌。毎号、世界中の定期刊行物からそのまま正確に抜き取った、遊び心のある、時にはショッキングで皮肉的なイメージの抜粋で構成されている。

飛行機がピクニック場に突撃する直前の瞬間や、スキンヘッド族の集会の盗撮や、のどに指を突っ込んで吐いている少女や、あるいはレイモンド・ぺティボンのドローイングなどは、最新号をぱらぱらめくると遭遇する、ほんの一例である。

イメージの視覚的な力強さや、雑多な異なった文脈を鮮明に並置させる手法などは逆説的な意味を帯び、しばしばそれは読者をびっくりさせる。あるときは加工されていない自然のイメージだったり、またあるときは一続きの場面のなかで起こるドラマチックな、あるいは皮肉的な緊張感であったりする。

パーマネント・フード(以下P.F.)には編集会議もなければオフィスもないが、ミラノで刊行されているもっとも面白い雑誌のひとつだと認識されている。それどころか、編集界のビジュアル・トレンドを知るための優れた道具でもある。私はパオラとランチをし、P.F.の過去と未来についていくつかの質問をしてみた。

P.F.で儲けている人は、誰もいません。それはいわば編集における一種のウィルスのようなもので、イタリアを除いた世界中の国々で刊行されています。神のみぞその訳を知っています。

ええ、私はそれをロンドンのマグマや、サンタモニカの本屋、そしてあちこちの美術館のブックストアで見たことがあります。

ええ、東京やニューヨーク、ロンドン、他にも沢山の国々で見つけられますよ。

雑誌にとって現実的な制作予算がないというのは驚くべきことで、まるでほとんどホームメイドのようですね。一体どのようにしてP.F.を着想したのか説明していただけませんか?

そうですね、まず最初にマウリツィオ自身に、何か個人的に編集できるような独自の雑誌をつくりたいという気持ちがあったということが始まりだと思います。初めそれはあらゆるプロジェクトの背後にあるアイディアと密接した、今とは異なったタイプの雑誌で、ドミニク・ゴンザレス・フォースターと共に着想しました。彼らは自分たちが親密に感じるイメージ、たとえば机の後ろにかかっているイメージや、雑誌の切りぬきのスクラップなどのようなイメージを緩和し委託するために、沢山の友達やアーティストを呼びました。私は90年代初期からすでにいくつかの彼のアートプロジェクトを手伝っていて、そしてそのままついにP.F.の共同編集をはじめました。

第3号のとき、私の介在はより顕著になり、P.F.はさらにアート的に演出され、広告の中にみられるイメージの効用やインパクトに近づきました。このことは、緩和しないでシンプルにそのままイメージを託すために人を集めるという方向に導きました。しかしP.F.は成長してしまい、そのとき既に一冊全部を埋めるだけの十分なイメージがないということを認識したのです(いまでは4色刷りの192ページですが、始めは白黒でほとんどファン雑誌のような形態でした)だから3号から4号にかけて、私たちは個人的な範囲でイメージを収集しようと決めたのです。

ヴォーグから切り取ったイメージに基づいている特別号について教えてください。

ヴォーグを基にして特別版を編集しようというアイディアは、マリウッチア・カサディオ(イタリア・ヴォーグのエディター)から来ました。P.F.は、その効果が持続する期間内で展開されるプロジェクトで、例えば、ある号のためのイメージを選びつつ5ヶ月以上過ごしたときには、何らかの方法によって、今生きているこの歴史的瞬間を記述している連鎖の中に陥ってしまっていることを認識するでしょう。

私たちが今日抱えている問題は、主題とは不釣合いな強度を持った描写の、長い、連続したイメージによってつくられた雑誌が沢山あるということです。そんなわけで、私たちは本の表層だけをかすみ取りはじめるのです、なぜなら、少なくとも他の雑誌に対しては、その方が簡単だからです。

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