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キオスク・ショップ・ベルリン

PLACEText: Kristy Kagari Sakai

ベルリンミッテ地区の北側にある住宅街の道沿いに、真っ白く光かっている一角が見える。ベルリンでは珍しいその蛍光灯に本能的に惹かれ、そちらへ向かうが、何かに似ている気がして仕方がない。好奇心と親近感が湧き上がり足を速めたとたん、はっと気づいた。そう、日本のコンビニの光なのだ、これは。小さな看板にも「キオスク・ショップ・ベルリン」と書かれている。やっぱり、と喜んだのだが、それはほんのつかの間だった。ここはちょっと特殊なキオスクだったのだ。

右側に冷蔵スタンド、奥には飲み物用の冷蔵庫、それらを取り囲む白い棚。そこに置かれているのは確かにどこにでもあるような日常製品だが、全て不透明な白い物体にコーティングされていて不思議な存在感を持っている。実はこのキオスク・ショップは、ベルリン滞在のアーティスト、H.N.セミョンによるパーマネント・インスタレーションなのだ。

『どこにでもある近所のキオスク、人は毎日のようにそこで新聞や必需品を買い、店主と会話を交わし、情報を交換する。そのあたりまえさに慣れきってしまっている私達を混乱させ、ありふれた環境を考えさせ直させる状況を作りたい』と H.N.セミョンは説明してくれた。

中身そのままのコーラ缶、タバコ、シリアル、シャンプー、お菓子類(コンビニで買える日常商品、そしてすぐにどこの商品か分かるパッケージングというのがポイントだ)を脱色したビーズワックスでコーティングした彼の「プロダクト・スカルプチャー」は好奇心を誘い、美術館で絵を眺める時と同じ熟考を要求する。もともと彼の展覧会で公開されたこれらのアートワークは、キオスク・ショップのセッティングに置かれることによって潜在的な力を発揮しているように感じた。

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