グラーツ

PLACEText: Christina Merl

グラーツという街を、ご存知だろうか? 一度も聞いたことがない? そんな人の為に、2003年の欧州文化首都に選ばれたこの街について少し紹介しよう。

欧州文化首都とは、欧州連合(EU)加盟国の都市を一つずつ巡回する形で、一年間にわたり集中的に多種多様なEU諸国の文化にスポットを当てるのがこの事業の目的だ(そしておそらく、旅行者の数の増大も含まれていることだろう)。

グラーツは、オーストリアで欧州文化首都選ばれた最初の都市。EUに加盟している15カ国の文化大臣によって選ばれた。オーストラリアの第2の都市であり、建都875周年の歴史がこの名誉に結びつき、それによってグラーツでの5000以上の文化的イベントが予定されている。

時として、オーストリアの隠れた「秘宝」と表現されるこの街。ヨーロッパ南東部への「出入り口」としての役割を果たすこの街は、ここ12ヶ月間の間に欧州文化首都という称号を得るために、あやゆる努力を重ねる。そして現在グラーツ当局や観光協会は、他の都市もグラーツのように、その街それぞれが持つお勧めスポットを見つけ、いつの日かそれがツアーリストマップに掲載されることを祈っているのである。


Murinsel: Elvira Klamminger: A multicultural island arena was set up on River Mur according to plans by the New York artist and designer Vito Acconci, offering a cafe and rooms for events and performances.

グラーツの街を知るには、歩いて回るのが一番だろう。歴史があり中世の趣を感じさせるこの街は、中央ヨーロッパの中でも有数の昔ながらの風景が残された街で、1999年にはユネスコにより自然と文化の世界遺産として登録された。ロマンティックな路地が町中に巡り、南部のテイストが感じられるイタリア式の宮殿がある街。

ゴシック調のダブルの螺旋階段、一度も侵略を受けずに残った要塞、365枚の窓がある城、反対周りに回る時計がある時計台…。見どころも満載だ。週末になれば、通りは多くの人々で賑わい、太陽の光が強くなってきた頃には、オープンカフェやレストランへと人が集まる。グラーツの人口は25万人。そのうちの20%が学生だ。そのため、この街は学生の街としての顔も持ち、アバンギャルドなアート、ジャズ祭、クラシックコンサート、オペラなどが一年を通じて行われている。


Airport: Harry Schiffer: A newly designed airport welcomes passengers in Graz.

街としての認知度を高めただけではなく、欧州文化首都として、多くの革新も行ってきたグラーツの街。文化的、政治的、そして地理的条件においても、長続きする効果をもたらす流行を作り上げたいというのがその目的だ。そのために5億ユーロ以上が投資され、新しくできた現代美術センターやムアー川に浮かぶ浮島などに使われた。

また今年には、劇場、オペラハウス、博物館、ギャラリーなどを会場に、ニコラウス・ハノンコートを指揮者として迎える音楽祭「スティリアーテ」、文化イベント「シュタイヤリッシェル・ハーベスト」、物語を取り上げたフェスティバルの「グラーツ・エアツァルト」、パペットショーのフェスティバル「ラ・ストラダ」、オーストリアの映画祭「ディアゴナール」が街の文化プログラムとして行われる予定。。

このように、現代のグラーズの街がフィーチャーされるイベントが盛り沢山の欧州文化首都。これらのイベントに行く用意はもうできているだろうか?

Graz Tourismus GesmbH
住所:16 Herrengasse, A-8010 Graz, Austria
TEL:+43 316 80750
info@graztourismus.at
https://www.graztourismus.at

Text: Christina Merl
Translation: Sachiko Kurashina

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