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ケン・イシイ

PEOPLEText: Shinichi Ishikawa

基本はやはりテクノにあるのでしょうか?

もともと機械的な音が好きだったのですが、僕が聴きはじめた頃は、エレポップとかがもうすでに終わっていて、過去のものを聴き直すという時で、結局どれを聴いても後追いな感じがして、その時に何か出てこないかなと思っていたら、デトロイト・テクノが出てきた。これはリアルタイムに自分が生きているスピードと同じに出てきたから、新譜が待ち遠しいというのがありました。10 代後半の頃です。

自分の基本は、やはりロックでないし、ソウルでもないし。絶対的にテクノだと思います。テクノロジーを使っていろいろなことができるという感覚。テクノの魅力というのは、頭デッカチと思われるかもしれないけど、プレイヤーミュージックではないというところ。一般的に楽器が弾ける人が、音楽ができるというというのがずっとあったと思いますが、音楽を聴くのは好きで、テクノロジーがあって、アイディアがあれば、音楽を作ることができるという部分で入っていきましたから。

ケンイシイさんはパイオニアとして日本でのテクノの盛り上がりをみてきたと思いますが、それについて感じるところはありますか?

ある意味痛快ですね。僕がテクノを聴き始めた頃は、東京でもテクノがかかるクラブは少なくて、渋谷でも一軒あったかなという感じだったので、そういう状況では国内でやってもダメかなと思ってヨーロッパからやってみたというのがありましたから。今では地方都市も DJ としてツアーできたりして、いい状況だと思います。やはり 10 代の頃に野外フェスティバルとかを体験すると人生変わると思います。 10 代の頃の音楽経験がカラオケなのかダンスミュージックなのかでは全然違うと思いますし。

最近の若いテクノのアーティストについてメッセージをいただけますか?

自分より若い人に接する機会が増えました。自分も歳をとったなと感じます(笑)。これからアーティストを目指す人には、テクノにプラスアルファが必要だと思います。テクノのアーティストを目指す人は、沢山いますから。それと、僕は最初は、マネージャーもいる訳もなくて、契約も全て一人でやって、ヨーロッパのイベントにも行っていたということもあって、結構鍛えられました。ツアーなんて本当に知らない場所への一人旅ですから。でも、それからなんでも自分でできるようになったという気はします。もちろん苦しい時期はあるけど、それは誰にでもあるし、とにかくやり続けることが重要だと思います。止めてしまえば絶対に何も見えないけど、やり続ければ何かが見えるかもしれないという可能性はあるから。決してあきらめずに、前向きに考えればと思います。

最後に今後の予定などを教えてください。

8月にアルバムが出るので、それからは、ツアーです。今年前半はずっとレコーディングで、DJ活動は全然やってなくて、アルバムを出したらやろうと思っていたのですが、オファーをまとめたらツアーのようになってしまいました(笑)。

Text: Shinichi Ishikawa

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